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翻訳書ドミノ 第13回

(2015/08/09)

 本日は翻訳書ドミノの第13回。“主人公が冒頭で失神する”つながりで『遠い夏の英雄』へ。前回取りあげた『火星の人』は宇宙飛行士であるマーク・ワトニーが火星の砂嵐のなかで失神しますが、『遠い夏の英雄』は米海軍SEAL隊員のトム・パオレッティが要人救出作戦の途中で爆風に吹き飛ばされ、失神するところから物語が始まります。

 『遠い夏の英雄』は、わたしもこれまでに4作を翻訳しているスーザン・ブロックマンの〈トラブルシューターズ・シリーズ〉の第1巻。翻訳は山田久美子さんです。



 〈トラブルシューターズ・シリーズ〉は1作ごとにヒーロー&ヒロインが異なり、物語も1話完結。第1巻のヒーローを務めるトム・パオレッティは米海軍特殊部隊の精鋭、SEAL第16チームの隊長を務めています。部下の信頼も厚く、超かっこいい男なのですが、彼について、読んだ人のあいだでまず話題にのぼるのがその頭髪問題。

 いまの彼は、後退している生え際もまったく気にかけていないかのように、髪を短く刈りこんでいる。たしかにてっぺんは急激に薄くなりつつある。でもそれは問題ではなかった。短い髪は彼によく似合っていた。
 この点には疑いの余地がない。あと二、三年もすれば、トム・パオレッティ――ハイスクール時代ずっとポニーテールで通した男――は世界でいちばんハンサムな禿げの男になるだろう。(p.47)


 ↑これがヒロイン、ケリーがトムと再会した直後の描写ですからね(笑)。ロマンス小説のジャンルでつぎつぎ意欲的な挑戦をしているスーザン。彼女にとってはヒーローの頭髪も多様性の一部ということでしょうか。

 ネタっぽい部分から入りましたが、本書はロマンスとサスペンスのバランスもよく、ストーリーがほんとによくできた作品。ロマンス小説ファン以外の方も、ラストはしみじみと感動するのではと思います。特に戦時の切ない恋愛が描かれた映画――『誰がために鐘は鳴る』や『カサブランカ』――などがお好きな方は気に入る確率大ではないかと。

 最近流行の(?)高齢者が活躍する本でもあります。そのいっぽう、18歳と20歳のういういしい恋愛も描かれていて、ああ、この本て考えれば考えるほどよくできてます。

 ロマサスのなかでは骨太なシリーズなので、男性読者も楽しめるのではという声をときどき耳にします。たしかに! 男同士の友情なども描かれていますしね。男性で既読の方、もしくは読んでみようという方がいらしたら、感想をお聞きしたいなあ。
 いまは古書しか流通していないのが非常に残念。

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プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
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