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『記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』

(2015/05/07)

 ちょっと更新しそびれて2週間もあいだがあいてしまいました。そのぶんこれから怒濤の更新ラッシュ!とはいきませんが、こまめに記事をアップしたいと思っていますので、ときどきのぞいていただければ幸いです。

 さて、先日、脳研究者・池谷裕二(いけがやゆうじ)さんの『記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』を読んでみました。

 きっかけは雑誌〈つるとはな〉に池谷さんの下記のような文章を見つけたことでした。

 年をとると物忘れが増えるとよく言われますがこれは老化ではなく、若い頃より記憶を探し出すことに時間がかかっているにすぎません。(中略)年を重ねるほど、膨大な記憶の山が築かれているわけですから、すぐにたどり着けなくて当然なんです。

 固有名詞が出てこない世代にとっては嬉しい話ではありませんか! 

 『記憶力を強くする』によると、物覚えが悪くなった気がするのは、何度もくり返して覚えようとする根気がなくなることも要因なのだとか。そういえば、昔は試験勉強などで何度も同じ文章を読んだりしたけれど、いまはそういう努力をする場面て皆無だものなあと納得したり。
 年とってからは意味記憶(知識)ではなくエピソード記憶(自分の経験や出来事に関連した記憶)として脳に蓄えればよいのだそうですが、このエピソード記憶も時間がたつと意味記憶に変わってしまい、取り出しにくくなるとのこと。ときおり人に説明してみるなど、エピソード記憶として保存するための努力をしないとだめなんだそうです。
 人間はコンピュータじゃないから、やっぱり努力は欠かせないわけですね。ただ、使い始めから時間がたつと消耗して故障が増えるコンピュータと違い、「脳は使えば使うほど性能が向上する不思議な記憶装置」という、またまた固有名詞出てこない世代に嬉しいことも述べられています。別にターゲット年齢層を設定して書いたわけではないだろうけど、池谷さん、中高年読者が喜ぶツボを押さえていらっしゃる。

「一週間後に一回目(の復習)、つぎにこの復習から二週間後に二回目、そして最後に二回目の復習から一カ月後に三回目――復習の間隔を広げるのがコツ」「1日に6時間まとめて勉強するなら、2時間×3日のほうが効果的」など具体的ハウツーも少し紹介されています。

 ただ最後の章に来て、ちょっと悲報が。年を重ねて記憶の総量が膨大になったら、そこからスムーズに必要な記憶を取り出すにはどうしたらいいのか――そこが固有名詞出てこない世代の知りたいところだと思うのですが。この記憶の「再生」の部分には記憶以外の脳の高次元な機能が深く絡んでいて、現代の脳科学ではまだほとんど解明できていないのだとか……残念。2001年に刊行された本なので、現在はもうすこし解明に近づいているかもしれませんけどね~。

 しかし、物忘れに関する不安を取り除いてくれるような記事や本を読んで嬉しくなってしまうあたり、年をとった証拠ですね(苦笑)。

 池谷さんはこちらの対談もおもしろかったのを思い出しました。ふふふ、この対談記事のことも記憶の山に埋もれていたぜ。

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プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
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