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第一回日本翻訳大賞授賞式

(2015/04/23) 
 先日、第一回日本翻訳大賞授賞式に行ってきました。大賞は『エウロペアナ:二〇世紀史概説』(パトリク・オウジェドニーク著/阿部賢一、篠原琢訳/白水社刊)と『カステラ』(パク・ミンギュ著/ヒョン・ジェフン、斎藤真理子訳/クレイン刊)、読者賞が『ストーナー』(ジョン・ウィリアムズ著/東江一紀訳/作品社刊)。
 授賞式についてはこちらとか詳細なレポがアップされているので、ここではごく簡単に。

 賞の選考委員は金原瑞人さん、岸本佐知子さん、柴田元幸さん、西崎憲さん、松永美穂さん。司会は米光一成さん。
 式そのものは西崎憲さんのユニットによる生演奏もあったり、全体的にとてもくつろいだ雰囲気でした。ただ当日配られた受賞作品原著者からのコメントを読むと、やっぱり胸が熱くなりましたし、昨年亡くなられた東江先生の代わりに出席された布施由紀子さんのお話の際には涙ぐまれた翻訳出版関係者、多かったんじゃないかな(わたしは東江先生に教えていただいたことはないのだけど、どうしても「先生」とお呼びしたくなります)。布施さんの声は温かみがあって、布施さんが何か朗読される機会があればうかがいたいなあと思いました。

 選考委員による座談会のコーナーでは、作家が翻訳した場合の“作家的ニュアンス”というお話がおもしろかったです。気合いの入っている部分の受け止め方や自分のほうに引きつける訳し方が、ふつうの翻訳者とは違う、と。あとは柴田元幸さんの「最終的には自分が読んで気持ちよかったもの」という選考ポイントも心に残りました。
 今回の大賞は原著がチェコ語とハングル語だったので、それぞれの言語に堪能な方に翻訳のチェックをお願いしたことについての説明も。

 賞の贈呈が終わってからは受賞者インタビュー。大賞はどちらも共訳だったので、訳出の際、役割分担はどうしたのかというお話など。阿部賢一さんと篠原琢さんは担当を前半・後半で分け、おたがいの訳文に赤を入れ合い、ヒョン・ジェフンさんと斎藤真理子さんはヒョンさんが全体を訳しあげたあと、斎藤さんが日本語の読みやすさという面でしあげを加えたというようなお話でした。斎藤さんとヒョンさんのやりとりのあいだには編集さんがはいっていたので、なんとおふたりは授賞式当日が初対面だったとのこと! 

 とにかく訳者、選考委員のみなさんは作品の魅力を伝えるのがお上手でした~。座談会のコーナーで触れられた、大賞以外の作品に興味を惹かれた来場者さんも少なくなかったはず。わたしがおもしろそうと思ったのは『黄金時代』だったのですが、あら、これも訳者は阿部賢一さんですね。

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 来場者のなかにはなんらかの形で翻訳出版と関わっている人が多かったのではないかと思います。とはいえ、会場が満員になるには一般の読者さんも数多く足を運ばれたはずで。「時間ができたらちょっとのぞいてみようかな」という感じで参加できる垣根の低さがよかったのではないかな~。当日の司会や進行もそういう点を意識されていたと思うし。書籍の販売コーナーもにぎわっていて、来年以降さらに盛りあがっていくといいなあと思いました。

 翻訳ミステリー大賞もそうだけれど、こういう賞や授賞式って、運営する側は外から見ているだけではわからないたいへんなこと、めんどうなことがいっぱいあるにちがいありません。それにもかかわらず、立ちあがったり、継続に力を尽くしたりしている方たちは本当にすごいとあらためて感じました。


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プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
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