FC2ブログ

05

23

コメント

本とテクノロジーが交差する場所

(2014/05/23)
 ロビン・スローン著『ペナンブラ氏の24時間書店』(東京創元社刊)が発売になってから1カ月ほどたちました。お読みいただいた方にはおおむね好評のようで嬉しいです。お陰様で重版も決定致しました。

ペナンブラ氏の24時間書店ペナンブラ氏の24時間書店
(2014/04/21)
ロビン・スローン

商品詳細を見る

 そこで、重版決定記念というわけでもないですが、今回は本書にまつわるトリビア的なことを2件ご紹介したいと思います。

☆フェスティナ・レンテ・マーク
 24時間書店で働くようになった主人公のクレイが店でたびたび耳にする言葉、それが“フェスティナ・レンテ”です。“フェスティナ・レンテ”は大辞泉にも載っているラテン語のことわざで、“ゆっくり急げ”という意味。ローマ皇帝アウグストゥスの言葉と言われているとか。
 スピードと慎重さのバランスを説いたこのことわざのシンボルとして、“海豚と錨”のマークがローマ時代から使われてきたそうです。そして本書でたびたび名前が登場する16世紀の印刷業者アルドゥス・マヌティウスはこれを自分の(印刷所の?)ロゴマークとして使っていたとのこと。クレイたちは本書の第二部で〈海豚と錨亭〉というパブを訪れるんですが、この店名はこのロゴマークから取られたにちがいありませんね。
 以上のことを教えてくれたのはこちらのページ。 マヌティウスが使っていたロゴマーク、かっこいい!

☆オーディオブック
 本書では紙の本と電子書籍の今後が重要なテーマのひとつになっていますが、オーディオブックも登場します。オーディオブックを初めて聴いてみたクレイが読書との違いについて述べる箇所があるので引用します。

オーディオブックを聴くのは初めてだけど、読書とはまったく異なる経験だ。本を読んでいるとき、物語は間違いなく頭のなかで繰り広げられる。耳で聴くと、頭のまわりの小さな雲のなかで繰り広げられているように、ふわふわした毛糸の帽子を目深に引きおろしたみたいに感じるんだ。

↑この“毛糸の帽子を目深に引きおろしたみたいに”という部分は、わたしが本書のなかで特に好きなフレーズのひとつです。
 本作の原書はオーディオブック版も出ているので、参考に聴いてみました。そうしたら! 1回目は気がつかなかったんですけど(汗)、2回目に聴きなおしたときにあることに気づき、びっくりしました――というか正直、焦りました。
 未読の方の興をそいでしまうかもしれないので、これについては詳しく書くことを控えますが――とはいえ、訳者が焦ったというと、察しのいい方はだいたいどんなことか想像がつくかもしれませんね(笑)――著者がオーディオブック版でちょっと遊んでいる箇所があることだけお知らせしておきます。ご興味のある方は原書もしくは邦訳版をお供にオーディオブック版を聴いてみてください。

 この記事のタイトル“本とテクノロジーが交差する場所”も本書に出てくる、そしてわたしが好きなフレーズのひとつです。これこそ、いま著者ロビン・スローンがいる場所なんじゃないかなーと、若干の願望も込めて思っています。

未読の方のために:
米光一成さんによる解説が全文掲載されているウェブページ
洋書コンシェルジュ渡辺由佳里さんによる原書レビュー
管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://rhiroko.jp/tb.php/33-05d593eb

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード

QR

*32*

Designed by

Ad