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コメント

伊藤遊『鬼の橋』(福音館書店)

(2023/2/24)

 翻訳小説を続けて読んでいたので、ちょっとchange of pace しようと伊藤遊『鬼の橋』(福音館書店)を読みました。第三回児童文学ファンタジー大賞受賞作。とてもよかった。

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 平安時代の実在の人物、小野篁(おののたかむら)の元服前を描いた、少年の成長物語。読みはじめる前は坂上田村麻呂がどんな描き方をされているのか気になっていたのだけれど(というのは英雄としての側面が強調されすぎだったりすると、それはちょっと……なので)、豪快で勇猛ながら、人を大勢殺めた将軍の悲哀がきちんと描かれていて、胸を揺さぶられました。
 読了後に検索したら、福音館書店のTwitterアカウントが本書を『鬼滅の刃』が好きな子たちに薦めていました。なるほど。もうちょっと上の世代(?)なら、十二国記シリーズが好きな人とか相性がよさそうとも思いました。ただ、感想を調べてみたところ、異世界との行き来などに対する期待が強いと、少し派手さが足りなく感じる人もいる印象を受けました。篁(たかむら)が出会う怪力の男、非天丸や、浮浪児、阿子那らとの心の交流が、やはりこの作品の大きな魅力なので、人物描写や心情表現に惹かれる人のほうが楽しめるかもしれません。とはいえストーリー展開もおもしろいので、年齢性別にかかわらずぐいぐい引っぱっていかれる確率は高いはず。

 この本は教文館ナルニア国のブッククラブのラインナップに入っていたため、出会うことができました。このきっかけがなければ、わたしは伊藤遊という作家さんを知ることなく終わっていたでしょう。つくづく、本との出会いも運、縁だなあと思いました。
 誰が、どの作品を、どういうふうに紹介するかって大きいと、最近あらためて感じています。特に、“本はたまに読む”くらいの人にとって。紹介されて手に取ってみた本がつまらないと(もしくは紹介のしかたが不誠実だと)、そういう人のほうが受けるダメージが大きく、読書から離れていったしまう可能性があるはずだからです。
 100%好みの合う人なんているわけはないし、ある程度の試行錯誤は必要だと思います。ただ、“本はたまに読む”という人も、好みの本、「読んでよかった!」と思う本と出会いやすい環境がもっと整うといいなあと思います。


 そうそう、小野篁について検索していたら、宝塚で舞台化されていたことを知りました……。さすが宝塚。カバー範囲広し。

がらくたどん

平家物語に材をとったエンタメ歴史小説を読むうちに時代が下って平安初期に・・。ものすごく久しぶりに伊藤さんの平安ファンタジーを2作読みました。『鬼の橋』の篁クンの成長ぶりが素晴らしい。決して初めから元気な主人公ではないところが良いですよね。なるほど鬼や物の怪は今の子ども達にとっても覗いて観たい世界なのですね。「本との出会いも運、縁だなあ」本当にその通りと思います。

05

11

14:50

島村

がらくたどんさま
伊藤遊さん作品、すばらしいですよね。いまがらくた図書館のほうのレビューも拝見してきました! 『えんの松原』も気になっていたので「ぜひとも読まねば!」となりました。鬼などのモチーフって、ちょっとアレンジされて現代のアニメやゲームなどにも登場してるんだなと最近あらためて興味が湧いてます。

05

11

22:25

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プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
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