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ちひろ美術館と静岡県のIさん

(2019/7/21)

先日、ちひろ美術館で開催されている〈ショーン・タンの世界〉展に行ってきました。ショーン・タンは気にはなっていたものの、作品を読んだことはなく、結局前知識ほとんどなしのままで。話題になっているし、混んでるだろうなあと思っていたら、平日の昼間はそれほどでもありませんでした。小さな美術館で、場所も繁華街の近くなどではないからかな。おかげで館内のカフェコーナーで休憩しながら、ショーン・タンといわさきちひろの作品の両方をゆっくりと鑑賞してくることができました。ショーン・タンの図録に載っている作品では「クマとその弁護士」が、見た瞬間に絵の世界——不穏で悲しい雰囲気——にぐっと引きこまれました。東京は7月28日まで。京都で9月21日から開催予定とのこと。

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ちひろ美術館を訪れたのは今回が初めて。実家にいわさきちひろの画集があったため、子どものころから絵はよく見ていたのですが、ちひろ個人についてはあまり知りませんでした。ちひろに関するコーナーで心に残る言葉が紹介されていました。

*大人になること*
 人はよく若かったときのことを、とくに女の人は娘ざかりの美しかったころのことを何にもましていい時であったように語ります。けれど私は自分をふりかえってみて、娘時代がよかったとはどうしても思えないのです。
(中略)
 けれど生活をささえている両親の苦労はさほどわからず、なんでも単純に考え、簡単に処理し、人に失礼をしても気付かず、なにごとにも付和雷同をしていました。思えばなさけなくもあさはかな若き日々でありました。
 ですからいくら私の好きなももいろの洋服が似合ったとしても、リボンのきれいなボンネットの帽子をかわいくかぶれたとしても、そんなころに私はもどりたくはないのです。
 ましてあのころの、あんな下手な絵しか描けない自分にもどってしまったとしたら、これはまさに自殺ものです。
 もちろんいまの私がもうりっぱになってしまっているといっているのではありません。だけどあのころよりはましになっていると思っています。そのまだましになったというようになるまで、私は二十年以上も地味な苦労をしたのです。失敗をかさね、冷や汗をかいて、少しずつ、少しずつものがわかりかけてきているのです。なんで昔にもどれましょう。


↑こちらを読んで、ちひろってどんな人だったんだろうと興味がわき、帰りにこの文章が収録されている『ラブレター』という本を買ってきました。

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情熱的な人だったんだな、と少し驚きを感じたり、彼女が生きた時代(この本に記されているのはおもに1950年ごろから。ちひろは1918年生まれ)に思いをめぐらしたりしながら読んでいます。

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編集部経由で読者のIさんからお葉書をいただきました。『ロイスと歌うパン種』がおもしろかったので、『ペナンブラ氏の24時間書店』も読んでくださったとのこと。嬉しいです。このブログをご本人がご覧になることがあるかどうかわかりませんが、読んでくださってありがとうございました。

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プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
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