FC2ブログ

01

13

コメント

『さいはての島へ』ゲド戦記3

(2017/01/13)

269797.jpg
『さいはての島へ』(アーシュラ・K・ル=グウィン作、清水真砂子訳)

 今年最初の読了本です。ゲド戦記は20代のころに原書で4巻まで(当時はそこまでしか発表されてなかった)読み、その後日本語でもぜひ読みたいと思っていた作品です。せっかく6巻まで邦訳が出ているのだから、できれば一気読みしたかったのですが、2巻の『こわれた腕環』を読んだのが去年のお正月という(苦笑)。お正月恒例本と化してこのあと3年もかからないよう祈ります。

 邦訳1巻『影との戦い』の冒頭を読んだときには文章のすばらしさにドキドキしたのを覚えていますが、3巻は著者ル=グウィンが作品に込めたメッセージの深さ、重さに唸りながら読みました。
 特に衝撃を受けたと言ってもいいのが次のゲドの台詞。

「わしは老いて、為すべきことをすでに為しおえ、今や、己の死と、身をかくす術なく、向かい合って立っている。(中略)わしにはわかるのだ。本当に力といえるもので、持つに値するものは、たったひとつしかないことが。それは、何かを獲得する力ではなくて、受け容れる力だ。」

 受け容れる力——これはわたしがこのごろ何かと大切だと感じつつ、自分にはまだまだ足りないと思っているものです。わたしの場合、だからこそ著者のこの指摘のすごさに気づけたというか、この年で読んだからこそ気づいたという気がします。20代のときは原書を辞書を引かずに読んだということもあったでしょうが、雰囲気とストーリーに引っぱられた読書でした。『さいはての島へ』、読み直してというか、読んでよかった。
 今回の読書で味わったような興奮を経験すると、ああほんとにまだ読みたい本、再読したい本がいっぱいあるなあと感じます。年取るのはかまわないんだけど、遅読のわたしとしては読書の時間を作るために時の流れを止められたらいいのにとか思ったり(笑)。ゲド戦記は原書もまた読み直したいなあ。

 ところで、話が飛ぶんですが、ほぼ日で国語辞典編纂者の飯間浩明さんと糸井さんによる日本語をめぐる対談の連載が始まってます。

「この言葉はこういうふうに話そうね」と
みんなで決めても、思い通りにいかないわけです。
人間がつくり出したものだけども、
人間を超えたところで動き出しているという、
そこにおもしろさがありましてね。


 言葉にご興味がある方はのぞいてみるとおもしろいかも。


管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://rhiroko.jp/tb.php/151-34abdd98

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード

QR

*32*

Designed by

Ad