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島本脩二氏&森枝卓士氏ダブルトーク“取材裏話 『ミャンマー』ができるまで

(2016/05/17)

教文館のナルニア国で行われた↑のイベントのナルニア国で行われた↑のイベントに参加してきました。講師の島本さんと森枝さんについてはリンク先に略歴が紹介されているので、そちらをご覧になってください——と書いたら、リンク先のページが削除されていました(涙)。島本さんについてはこちらを、森枝さんについてはこちらをご参照ください。司会は本書(ミャンマーの巻)を担当されたという、偕成社の編集者、秋重さんでした。
 偕成社創業80周年を記念して刊行されたシリーズ「世界のともだち」は、30年前の「世界のこどもたち」のリニューアル・シリーズとのこと。島本氏は30年前は編集者として、当時は小学館の編集者でいらしたにもかかわらず——おや?(笑)——全巻を担当、今回は編集長として参加されたそうです。30年前と今回と両方参加している写真家はお二人だけで、そのうちのお一人が森枝さんなのだとか。
 以下、当日のお話の一部をご紹介します。

・30年前は「図書館向け」という方針もあり、やや教科書的でかたい作りになった。今回はブックデザイン担当の寄藤さんのおかげでやわらかさが加わった。(島本さん)
・ミャンマーは取材したのがアウン・サン・スー・チーさんの政権が発足する前ということもあり、学校など取材許可が得にくかった。(森枝さん)
・シリーズ全体として取材に苦労した理由は大きく2つ。政治絡み(国によっては「日本に協力すると出世の道が絶たれる」と言われたこともあったとか……)とプライバシー保護(肖像権など)の問題。ただし現場の人(学校の先生)は受けいれにとても前向きだった。(秋重さん)
・ミャンマーもスマホが普及していて、驚かされたこともあったが、まだ昔の生活が残っているこのタイミングで取材できてよかった。(森枝さん)
・この30年で、ヨーロッパの暮らしはあまり変わっていない面もあるけれど、アジアは大きく変わっている。(島本さん)
・その国を知らない、知り合いもいない人にかぎって「あの国はこうだ」と決めつけたりする。その国を知るようになれば、どこの国だって「いいやつもいれば、悪いやつもいる」とわかる。(森枝さん)
・写真に文章を加える際、「ミャンマーでは〜」といった書き方ではなく、「スミンミャの家には〜」という書き方にしようと話しあった。取材した子どもひとりに国を代表させるのは無理。特にミャンマーのスミンミャは少数民族の子。国を代表していなくても、日本と違う暮らしを知ることに意味があるはず。(秋重さん)

 最後に質疑応答の時間があって、そこで会場から「シリーズ名が“世界のこどもたち”から“世界のともだち”に変わり、より子ども視点になったところがいい」という感想が出ました。これにはうなずいている方が多かった気が。
 わたしが今回、いちばん心に残ったのが、このシリーズは「国境に壁を建てるのではなく、国境を低くする仕事」という島本さんの言葉。30年前のシリーズを子どものときに読んだのがきっかけで、文化人類学者や国際政治の研究者になったという方もいらっしゃるんだとか。本は人と人のあいだの壁や垣根を高くするのに利用されることもあるけれど、もちろんその反対の力も持っているわけで、この“壁を低くする力”のほうが優勢になっていくといいなと思いながら帰ってきました。

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↑ところどころ挿入されている鈴木千佳子さんのイラストがとてもよいのです!

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↑森枝さんは「食の人」ということで、食べものの写真がいっぱい。簡単なミャンマー風納豆料理の作り方も載ってます。

 写真が豊富で、(代表的ではないにしても)その国の暮らし——着ているものとか、家の作りとか、習慣とか——がよくわかるので、仕事の資料にもなりそうだなと思うシリーズです。



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プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
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訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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