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翻訳書ドミノ 第17回

(2016/01/13)

 うー、寒くなりましたね! けさは給湯システムの画面に「わたし、凍結防止のために働いてます」マークの雪だるまが表示されていました。
 さて、新年2回目の更新は翻訳書ドミノの第17回。「書名が全部カタカナ」つながりで前回の『ハートビート』から『ボーイ・ミーツ・ボーイ』(デイヴィッド・レヴィサン著・中村みちえ訳・ヴィレッジブックス刊)へ。



 アメリカ東部の学校に通うゲイの高校2年生、ポールの恋愛や友だちとの交流を描いた作品です。
 ポールがゲイという点を除けば典型的YAという印象。これは平凡という意味ではなく、読んでいるあいだポールがゲイだということは特に意識させられなかったと言ったらいいかな。ポールにはもちろんストレートの友だちもいるので、彼女たち、彼らのくっついたり・はなれたりも描かれています。原作の刊行は2003年、日本での出版は2009年ですが、LGBTという言葉が日本でも浸透しはじめたいまが読み時かも。
 同性愛者やドラァグ・クイーンが何人も出てきて、ありのままに学校生活を送っているさまには「すごいな〜」と感じる人もいるかもしれません。ドラマ〈glee/グリー〉などを観ている人は「はいはい」という感じでしょうか。

 LGBTの人の占める割合については、電通総研が行った調査の数字が引用されることが多いようです。この調査の信憑性については疑問視する声が当事者のあいだからも出ていたりするようですが、参考までに記すと2012年の調査で5.2%、2015年の調査で7.6%となっています。2015年に増加した理由には、調査手法の変更と、社会環境の変化や関連情報の増大によって該当者の自己認識に影響があったことなどが想定されるのだとか。もう少し公的な調査結果ってあるのかしら。LGBTをビジネスにつなげようという動きがあることを考えると、ちょっと気になります。
 話が少しそれましたが、『ボーイ・ミーツ・ボーイ』を読んでいると「本当はこれくらい多様性に富んでいるのが自然なのでは」という気持ちになりました。

 著者レヴィサンは作家として活動すると同時にスコラスティックという児童書専門の出版社で編集長をしています。自身もゲイとのこと。つい先日行われたアメリカ図書館協会(ALA)の大会で、YA文学への貢献をたたえられ、マーガレット・A・エドワーズ賞を受賞しました。

 本書はレヴィサンがヴァレンタイン・デーに友だちのために書いた物語がもとになっているのだとか。そういう意味ではヴァレンタイン・デーが一カ月後というこの時期に向いている作品でもあります。描かれているのは11月なんですけどね。


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プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
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