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タイガー立石展と絵本『とらのゆめ』

(2022/1/29)

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 シュールな作品、どこか不思議なところがある絵が漠然と好きです。マグリット(なぜかいつも名前が思いだせなくなる……)とかダリとかルソーとか。
 タイガー立石は昨年、NHKの〈日曜美術館〉で特集され、それまで名前も知らなかったのに俄然、展覧会に行ってみたくなりました。番組放送時に展覧会が開催されていた千葉市美術館は会期が緊急事態宣言中だったこともあり、あきらめたのですが、ほかの会場を巡回後、最後の会場になる埼玉県立近代美術館で作品を鑑賞してくることができました。

 埼玉県立近代美術館とうらわ美術館の2館同時開催だったのに、わたしは当初そこに気づいておらず、 うっかりうらわ美術館の閉館日を選んでしまい、うらわ美術館のほうで展示されていた絵本と漫画作品は見られずじまい……。残念ではありましたが、近代美術館の展示だけでも見てまわるのに2時間くらいかかったし、休憩したあと常設展示も楽しんでこられたのでよしとします。

 タイガー立石にわたしが特に興味を惹かれたのは、「売れっ子になりそうな危機」を感じると活動する場所・ジャンルを変えてしまうというところ。作風だけでなく、生き方もかなりユニークだったようです。そんな立石が一時期、力を入れていたのが絵本制作ということで、ミュージアムショップではタイガー立石さく・え『とらのゆめ』(「こどものとも年中向き」429号/福音館書店)と谷川俊太郎ぶん・タイガー立石え『ままです すきです すてきです』(福音館書店)を買ってきました。『とらのゆめ』に入っていたパンフレットから、タイガー立石の文章を一部、引用します。1984年に書かれたものだそうです。

 ≪とらのゆめ≫にでてくる虎は、なぜかすべて緑色である。夢の中の虎だからと言ってしまえばそれまでだが、これにはある深いこだわりと、それに何となく時代の気分のようなものがある。(中略)私の虎は、動物と植物をかねあわせたイメージである。人間の生活や歴史が、人間同士の競い合いであった時代は、このところで急に変わろうとしている。そこにはやはり、水や空気や太陽や樹や草や動物たちとの調和のなかでしか、人類の平和が保てないと悟りはじめたわれわれの時代の気分がある。
 10年前、イタリアはミラノに住み、タカタカという名の犬(バセットハウンド種のオス)を持っていた私は、ある日彼をつれて散歩の途中、4歳くらいの、可愛い男の子と母親の二人づれに出会った。子どもは犬をみるなり母親に質問した。「ママ! 動物も感じるの?」母は答えた。「そうよ、お宝さん、動物も感じるのよ」……。
 母と子が、動物と人間の感覚の同一を語ることからすべてがはじまる。そこから出発して、植物について、水について、空気や土やエネルギーについて、そしてもう一歩すすんで、それらの循環や互恵の関係についてなど、大いに語り合うべきだと思う。私が虎の緑色にこだわったのも、そのへんに事情がある。


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(↑左がパンフレット)

 とらのモチーフは立石のほかの作品にもたびたび登場していて、絵にはかなりの風刺が込められていたりしても、虎が目に入った瞬間、顔が緩んでしまうというか、そんな描き方がされています。1984年に↑のようなことをすでに書いていた彼は、2022年の世界を見たら「え、まだこんなことしてるの?」と驚くのではと思ったり。

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(↑とらが丸まっているところは、ちょっと草間彌生作品を思いだします)

 さて、昨年、雪組トップだった望海さんが卒業したのを機に、宝塚はいったんひと区切りにすることにしました。もちろんまったく観ないというわけではなく、前よりも利用しやすくなった配信やライビュはときどき利用するつもり、というかしていますが。ことしは展覧会やコンサートなどをメインに楽しめたらなと考えています。主催者側も行く側も安心できるように、コロナ関連の状況が早く落ち着いてくれるよう祈るばかりです。

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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