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『私はカレン、日本に恋したフランス人』と『ゆでたまごを作れなくても幸せなフランス人』

(2021/9/13)



 少し前に同業者のTさんから『私はカレン、日本に恋したフランス人』を薦めていただいていたので読んでみました。

 欧米人のなかには、たとえ日本(もしくはアジア)の文化に関心を持ったり、敬意を抱いていたりしても、「期せずして上から目線」なところがチラ見えしてしまう人っていると思うんです。この夏、強引に開催された東京オリンピックとパラリンピックをめぐっては、「期せずして」どころかきわめて「あからさまに」日本を見くだしている一部の欧米人の言動を見せつけられ、なんとも言えない気持ちに……。そんなことがあって間もないころに本書を読んだせいか、日本という国に純粋に興味を持ち、おもしろがってくれているカレン(本名はカリン)さんの様子に、なんだかなぐさめられました。数年前(?)から巷に増えてきた「日本スゴい」的な論調は好きじゃないけれど、自分が生まれ育った国を好きになったり、いいところを見つけてもらえたりするのはやっぱり嬉しい。

 本書については著者でカリンさんの夫、じゃんぽ〜る西さんのインタビュー記事〈日本人漫画家がフランス人妻の視点で描く日本〉〈フランス人ママ記者も感動 日本は育児しやすかった!?〉を読んでいただくと、おもしろさがよくわかるかと思います。

 〈フランス人ママ記者も感動 日本は育児しやすかった!?〉(2016年)の最後でカリンさんは東京オリンピックについて「母親としてもジャーナリストとしても、楽しみですね」と語っていますが、東京オリンピックが当初期待されていたものとは大きく違う形になってしまったのは、すでにみなさんご存じのとおり。カリンさんは大会中から五輪会場やプレスセンターの様子、問題点などをTweetしていらっしゃったけれど、先週公開されたカリンさんの記事〈「ヒュブリス」だった東京五輪が日本に残す教訓〉(Newsweek日本版)を読むと、あらためてうなずいたり、考えさせられたりしました。



 カリンさんとは反対にパートナーがフランス人でフランスへ移住し、小さなホテル(シャンブルドット)を営んでいる日本人、町田陽子さんがフランス人について語った本が『ゆでたまごを作れなくても幸せなフランス人』です。こちらは4年ほど前に読んだんですけど、フランス——特にプロヴァンス地方の土地柄に気楽に触れられる本でした。フランス人は「できないこと」に寛容と書いてあった部分が印象に残ってます。日本人、きっちりしているのはいいけど、それが苦しく感じられるほどになってしまうときもありますもんね。

 ともあれ、よその国のライフスタイルを扱ったエッセイや「〜人論」的なものを読むとき、個人的に気をつけていることがあります——そうした本は書いた人の限られた経験に基づいている場合もあるので、「あくまでも“著者の経験上は”という但し書きがつくことを忘れないようにする」ことです。それを忘れると、決めつけが強くなりすぎそうな気がして。これは本に限らず、SNSで海外在住の日本人の方、日本在住の外国人の方が発信する情報についても、このごろ気をつけなければと思うようになりました。

 あ、最後にもうひとつ。『私はカレン、日本に恋したフランス人』でフランスに一時帰国したとき、なじみのタクシードライバーさんができたというエピソードを読んで、数十年前ですが学生時代に友人と3人でパリへ行ったときのことを思いだしました。学生の貧乏旅行だったんですけど、3人いたので空港からホテルまでタクシーに乗りました。そのときの運転手さんがとてもいい方で。実はわたしがパリに着くなり大失敗をしたんですけど、その方のおかげで無事旅行が続けられたのです……(と書くと、だいたいどんな失敗か想像がつく?)。で、パリ観光が終わって空港へ行くときもその運転手さんに送っていただいたのでした。パリのタクシー運転手さんはよく助手席に犬を乗せていると何か読んでいて、その運転手さんもダックスフントを乗せていたので「わ、本当だ!」と思った記憶もよみがえってきました。

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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