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『荒野に追われた人々 戦時下日系米人家族の記録』



 『荒野に追われた人々 戦時下日系米人家族の記録』(ヨシコ・ウチダ著/波多野和夫訳/岩波書店)を読みはじめました。著者のヨシコ・ウチダは書評家として有名なミチコ・カクタニの叔母さん——本書に登場する姉ケイコがミチコ・カクタニのお母さん——だそうです。ミチコ・カクタニ、以前は顔を出さないことで知られていたはずですが、いまググったら写真が出てきました。ニューヨーク・タイムズ紙を辞めたからでしょうか。
 さて、本書は太平洋戦争が始まる前の部分まで読んだところなのですが、子どもだった当時を回想する著者の語りにさりげないユーモアが感じられ、思いがけないところで笑わされます。移民一世のご両親は都市部で暮らしていても、ある意味開拓者と言えると思うのですが、自分たちよりも裕福ではない人たちにいろいろと心遣いをなさったりする姿が個人的には〈大草原の小さな家〉のインガルス夫妻と重なる気がしました。当然ながらノスタルジックな回想ばかりが綴られているわけではなく、二世が抱いていた一世への複雑な思いや日米開戦前からの人種差別についても書かれています。たとえば、美容室には「日本人の髪も切りますか」、プールには「私たちもそちらに行って泳げますか? 日本人なんですけれど」と、まず電話をかけて受けいれてもらえるかどうか確認をしたそうです。

 この本については8月の終わりに西東京読書会『パールとスターシャ』読書会に参加したときに知りました。『パールとスターシャ』読書会とそのきっかけになったフェアについてはリンク先の記事をお読みください。読書会後半がフェア参加書籍を紹介するコーナーだったんですが、参加者のおひとりで翻訳者の柿沼瑛子さんが『荒野に追われた人々』についてもお話になったんですよね。読書会の課題書『パールとスターシャ』を訳された野口百合子さんは『片手の郵便配達人』(グードルン・パウゼヴァング著/高田ゆみ子訳/みすず書房)を薦めていらっしゃいました。こちらも早く読みたいと思っています。
 『荒野に追われた人々』は残念ながら絶版なので、図書館か古書店でさがしてみてください。英語でもOKという方は原書のKindle版という手もあります。





 西東京読書会、以前から一度参加したいと思っていたのですが、翻訳者で世話人の小林さゆりさんの進行がすばらしかったです。くつろいだ雰囲気を作りながら、みなさんの発言をしっかり確認し、進めていくって簡単じゃありません——いちおう(笑)読書会世話人経験者の言葉。

 フェア参加書籍紹介コーナーでわたしは『13歳のホロコースト』と『隠れナチを探し出せ』を紹介してきました。フェアの周辺書についても簡単にまとめられたらなんて思っていましたが、きょうは長くなってしまうのでこの辺で。



プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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