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30年前の読書ノート

(2019/9/29)

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机の抽斗の整理をしていたら30年前の読書ノートが出てきた。取ってあるのは覚えていたので、新たに見つけたわけではないんだけれど、中身を読んでみると驚愕だった。稚拙すぎる……。いや、いまでも個人的な読書記録(エクセルでつけてます)に書いてあるのはほんとにしょーもない感想がほとんどなんですけどね。それにしても、原書を一冊読み切っただけですごく喜んでいたりもして……。「あなた、いちおう英文学科だったでしょ」と言いたくなる。

ノートに書いてあるのは平成元年(1989年)から2年半ぐらいのあいだに読んだ本。翻訳の勉強を始める少し前〜始めて間もないころの記録だ。自分では読んだかどうか記憶が曖昧になっていた本のことが書いてあって、「あ、やっぱり読んでいたんだ」と確認できたのはよかった。

名作と言われていても、読んだことすら忘れてしまう本はやはり自分にとってピンとくるものがなかった、合わなかったということなんだろうなあ。年齢を重ねると感じ方が変わる場合もあるけれど、読んだことも忘れちゃっていたような作家は再読、あるいはほかの作品を読んでみるのを後まわしにしてもいいかなと思った。興味はあるのにまだ一作も読めていない作家の本がいっぱいあるので。

いま、ほかの本と平行して少しずつ読んでいるのが『石井桃子コレクションV エッセイ集』。昨年〈石井桃子生誕110年記念「子どもの本を編んだ人 石井桃子と岩波少年文庫」トークイベント〉へ行ったときに買った本です。前回の記事で書いた『少年少女のための文学全集があったころ』と同じく付箋貼りまくり(笑)。V・L・バートンや瀬田貞二さんはもちろん、堀内誠一さんの思い出なども綴られている。先日、西東京読書会の『パールとスターシャ』の回(会)に参加した帰り、参加者さんのひとりが石井桃子さんのエッセイ集を読んでいる(読み終えたところ、だったかな?)とおっしゃっていた。石井桃子さんのファンってやっぱり多いなと思いながら帰ってきた。

こちらの記事でちらっと書いたファージョン『年とったばあやのお話かご』も石井さんの訳でした。

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『少年少女のための文学全集があったころ』を読んで

(2019/9/5)


『少年少女のための文学全集があったころ』松村由利子著・人文書院

 2016年刊行の本です。出てわりとすぐに大学時代の恩師が「とてもおもしろかったから、あなたも読むといいわ」と貸してくださったのですが、最初のほうを読んだら本当にすてきな本だったので、すぐに自分でも購入しました。ただ、例によって買ったら積んでしまって……読了したのは先日です。
 もう付箋貼りまくりでした。その付箋箇所をトピックにしてブログ記事がいくつも書けそうな気がします。たとえば『あしながおじさん』に関して、わたしが子どもころは素通りしていて、大人になってから気づいた部分についても書かれていたりしたので、そのあたりのこともまた記事にできればと考えています。

 きょうはいきなり最終章の「少年少女文学全集よ、永遠なれ」からの引用から。

素朴に過ぎるかもしれないが、世界のいろいろな国に友達がいれば、戦争は起こりにくいのではないかと考えている。それは現実の友達でなくても構わない。時空を超え、本の中で親しんだ人々がいるかいないかで、その国や地域への思いは全く異なるはずだ。

 うろ覚えですが、今年二月に参加したJBBYの国際アンデルセン賞講座でも同じようなお話が講師のさくまゆみこさんからあったように記憶しています。
 この「現実の友達でなくても構わない」ということに関連して思いだしたのが、〈トラブルシューターズ・シリーズ〉の著者スーザン・ブロックマンからのメールです。2015年、邦訳が出たばかりの彼女の『薔薇のウェディング』(原題 All Through the Night)について、出版社経由で毎日新聞の斉藤希史子記者から翻訳を担当したわたしに取材の申しこみがありました(その後、掲載された記事はこちら)。斉藤記者が知りたいとおっしゃるブロックマンの考えを確認するため、わたしがブロックマンとメールのやりとりをしました。そのときもらった返事のなかに、〈トラブルシューターズ・シリーズ〉に登場するゲイのFBI捜査官ジュールズに対する読者の反応が書かれていました。

“ゲイの人と知り合いになりましょう”というのはわたしの戦略でもあるので、〈トラブルシューターズ・シリーズ〉にはゲイのFBI捜査官ジュールズ・キャシディを登場させました。カムアウトしているゲイの友人はジュールズが初めてという読者もいるだろうと思っていましたが、予想どおり、ジュールズと知り合ったことで考え方や気持ちが変わったというアメリカ人読者が数多くいました(日本でも同様の変化があればと期待しています)。

 このときもらったブロックマンからの返事は、いま読み返してみても目頭が熱くなります。上記の「ジュールズと知り合ったことで考え方や気持ちが変わった」という読者さんは、まさに松村さんのおっしゃる「現実の友達でなくても構わない」の実例だと思います。「本のなかで親しんだ人々」が持つ影響力は、国籍や地域以外の属性に関してもとても大きいはずです。

 わたしが『薔薇のウェディング』に続いて翻訳を担当した『ジョージと秘密のメリッサ』について、先日当事者に近い方が心情描写がすごくよいという内容のツイートをしていらっしゃるのを見ました。嬉しかった。ジャンルとしてはまったく違う本ですが、二冊とも現実には接する機会が少ないかもしれない——本当は接しているはずなんだけれど——人たちと、読者さんが「本のなかで親しむ」機会になれば、訳者としてこれほど嬉しいことはありません。





*毎日新聞に記事が掲載されたときのブログ記事はこちら→〈毎日新聞の夕刊コラム〈憂楽帳〉にて紹介されました♪〉

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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