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I'm full of surprises.

(2017/08/11)

 翻訳の勉強を始めてまだ間もないころ、授業の課題のなかに "I'm full of surprises."という文章が出てきました。出典は忘れたけれど、たしか孫たちと話していたお祖母さんの台詞だったと思います。これをわたしは(お祖母さんが)「とってもびっくりした」という感じに訳していったんです。ブブーッ、不正解。正しい意味は(お祖母さんが)「驚かせるところがいっぱいある」「意外な面をたくさん持っている」ですね。ここを間違えてるとは夢にも思ってもいなかったわたしは、そりゃもう"I was really surprised!"でした。20人くらいのクラスで何人ぐらいだったかなあ。ほかにも勘違いしていた人がいて、みんな驚いていました。

 こんなエピソードを思い出したのは、先日ある娯楽番組で英語ネイティブ女性のコメント "I'm full of surprises." に「びっくりしたわ」という意味の日本語字幕がついていたからです。あ、テレビ番組の字幕をつけたりする人でも間違う表現なんだなあと、ちょっと安心……いやいや、注意しなければと気持ちを引き締めたしだいです。
 "full of surprises" の危険なところは、話者がびっくりしたという意味に受け取ってしまっても、訳に違和感があまり出ない、だから気づきにくい点でしょうか。じっくり読むと文脈からもおかしいと気づくんですけど。このあいだの番組では、たしかネイティブ女性は「わたしには意外な面がいっぱいあるのよ。ご近所さんだって、実はそういう面を持っているかもしれないわ」と言っていたのですが、字幕が「びっくりしたわね。ご近所さんも意外なところを持ってるかもしれないわ」というような意味(←うろ覚え)になっていて、でも字幕だけ読んでいれば引っかかることはありませんでした。

 English sentences are full of surprises and traps for (Japanese) translators.





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仕事の参考に観た映画で

(2017/08/06)

 ちょっと昔の映画『デンジャラス・ビューティー』と『メラニーは行く!』を観ました。いま訳しているというか訳文の見直しをしている作品にミスコンが出てきたり、物語の舞台が南部だったりするので。




 偶然二本ともキャンディス・バーゲンがちょっとした/かなりの(?)憎まれ役で出てきて、この人ってこういう役まわりの多い人だっけ?と思いながら観ました。さらにどちらも15年ほど前の作品。振り返ってみると、2000年前後ってわたしが一番映画とか観ている余裕のなかったころかも。

 どちらもツッコミどころはあるけれど、翻訳者としては特に『メラニーは行く!』が南部の雰囲気などを映像で確認したりするのに役立ちました。田舎の町並みやら、猟犬がとてもかわいがられているところやら。
 そうそう、南北戦争の再現劇(reenactment)の場面なんかも出てくるんですよ(笑)。これは今度の仕事に関係ないんですけど、昔訳した『13羽の怒れるフラミンゴ』という作品(ドナ・アンドリュース著)に独立戦争の再現イベントが描かれていたんです。この映画に再現劇の場面が出てくることは、Twitterを始めてから相互フォローの読者の方に教えていただいていたのですが、未見だったのです。再現劇の映像はYouTubeで観たことがあったんですけど。『13羽〜』の原書を初めて読んだときは戦争の再現イベントが年中行事として行われる地方があるなんて知らず、「なんだこれは???」と思ったのを思い出しました。

(↑ゲティスバーグの戦いの再現イベント映像)


 ところで、『メラニーは行く!』にはツッコミどころというより、かなり気になった部分もありました。主人公のメラニー(リース・ウィザースプーン)は自分勝手なところがありつつも独特な愛されキャラという設定なんですが、彼女がゲイの友人ボビー・レイをアウティングする場面があるんです。田舎町の狭い人間関係のなかのことなので、彼女が言わなくても、みんな察していたかもしれない。でも、そのあとのメラニーとボビー・レイの仲直りの描き方があまりに簡単すぎて。2002年の作品とはいえ「え?」という感じでした。アウティングされたことから自殺してしまう人もいる現実を考えると……。

 娯楽作品から受けるすりこみって意識しないところで大きいと思うんです。あとで「『メラニーは行く!』で主人公もやってたし、でもゲイの友達もまた彼女を受け入れてたし」と思い出すことすらなく、ただアウティングという行為を軽視する気持ちだけが育ってしまう可能性もあると感じました。


プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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