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『ジョージと秘密のメリッサ』

(2016/12/29)

 2016年もきょうを含めてあと3日となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? わたしはことしも小分け大掃除をちょこっとやるだけで終わりそうです(苦笑)。

 さて、今月新刊『ジョージと秘密のメリッサ』(アレックス・ジーノ著/偕成社刊)が発売になりました。



 初めて読んだときからぜひ訳したいと思い、無事に版権が取れるのを祈るような気持ちで待った作品です。
 エージェントから送られてきた原書のデータには原著編集者デイヴィッド・レヴィサンの手紙がついていました。そのなかでレヴィサンは、ジーノの原稿を読んだあとすぐ上司のところへ、本書を自社から刊行するためにあらゆる手段を講じていいという許可をもらいにいったエピソードを記していました。通常の会議や承認をすっとばすために。「なぜなら、本書の刊行にかかわれなかったら、わたしは胸がつぶれるにちがいなかったからです」
 わたしもまさにそんな気持ちでした。

 本書の主人公は小学校4年生のジョージ。ジョージは見た目は男の子だけれど、心は女の子というトランスジェンダーです。トランスジェンダーの子が登場する児童書はアメリカでもまだ少ないそうで、その点で本書の持つ意義はとても大きく、全米図書館協会のストーンウォール賞やラムダ賞(どちらもLGBTを取りあげたすぐれた文学作品に授与されます)を受賞し、各種年間ベストブックの1冊に選ばれました。
 
 と同時に、本書はトランスジェンダーというキーワードから離れても、読者の心を揺さぶる作品です。本書には著者ジーノから「ほかの人とちがうと感じたことのあるあなたに——」という言葉が添えられています。集団のなかで孤独感や違和感を経験したことのある方は少なくないと思うのですが、そうした方にはきっとジョージの気持ちがよく理解していただけるはずです。

 今回の記事は訳者としての個人的な思いが多少強く出た内容になっていますが、また別記事で本書に関連した本などご紹介できればと思っています。

渡辺由佳里さんのブログでご紹介いただきました!
☆原著編集者のデイヴィッド・レヴィサンについては以前にこんな記事を書いていました。



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丸3年/〈ゲイビー・ベイビー〉/〈シーモアさんと、大人のための人生入門〉

(2016/12/07)

 先月は北翔さんの退団公演に関する記事を書いたら終わってしまいましたが、11月でこのブログを始めてから丸3年が過ぎ、4年目に入りました。お読みいただいているみなさまには感謝です! ここしばらく書く回数が減っているのですけれど、ゆるゆると続けていきますので引き続き、ときたまでものぞいていただければ嬉しいです。

 きょうは最近観た映画2本について少し。

〈ゲイビー・ベイビー〉

 市民上映会配給記念の特別上映会というのに行ってきました。現時点では今後の具体的な上映会日程などは決まってないのかな? わたしは観てとてもよかったと思ったので、ご覧になる機会があればぜひにとお薦めしたい作品です。両親がゲイ・カップルという家庭で育っている子供4人を取材したドキュメンタリー。雰囲気的に〈6才のボクが、大人になるまで。〉を思い出しました。これから増えてくるはずの「多様な家庭」について知るうえで助けになる1本。わたしは予告編を観て「よさそう」と思ったので、↑のリンク先にある予告編をぜひ見てみてください。上映会では日本語の字幕がつきます。監督のマヤ・ニューウェル自身がゲイ・カップルの家庭で育ち、彼女のdonor father は日本人だそうです。


☆シーモアさんと、大人のための人生入門



 こちらもよかったです。51歳でピアニストとしてのキャリアに終止符を打ち、教えることに専念したシーモア・ホフマンさんをイーサン・ホークが監督として撮ったドキュメンタリー映画。シーモアさんはピアノ教師というか教育者なのだろうなあ。映画に登場するシーモアさんの印象的な言葉はこちらにまとまってます。ただやっぱり映画でシーモアさんが語るところを見ながら聞いたほうが、心への響き方が違うと思います。
 長くもなく、退屈でもないのに、音楽の心地よさと映画館がぬくぬくと暖かかったせいで最後にちょっと眠気に襲われてしまった。昔ジョージ・ウィンストンのコンサートで途中しばらく気を失ってしまったことを思い出しました。よい音楽は眠気を誘う……(笑)。



プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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