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〈魔法の庭 ダルメイン〉

(2016/08/31)

 特にガーデニングが好きというわけではないのですが、先日「あ、なんかこの番組よさそう」と思って録画しておいた〈魔法の庭 ダルメイン〉を見ました。
 庭ももちろんですが、現在の当主の奥さまで番組の案内役のジェーンさんがすてきでした。庭造りの名手であるだけでなく、にこやかで穏やかな話し方も魅力的で、きっと頭のいい人なんだろうなと思いながら見ていたら、なんと番組途中でThe World's Original Marmalade Awards & Festivalの企画者であることがわかってびっくり。このイベント、ことしは(番組映像にも映ってらしたけど)日本の方が金賞を受賞されたとかで、その記事を前に読んだことがあったんです。このフェスティバルの記事ではデイルメインとなってますね。スペルは Dalemain。
 この邸宅と庭は観光地として成功しているようで、フェスティバルのことといい、ジェーンさんはおっとりした雰囲気ながら、敏腕のビジネスパーソンなのかもしれません。
 ジェーンさんを見ながら、ロザムンド・ピルチャーさんが描く世界を思い出しました。ピルチャーさんの本はほぼ全部読んだんですが、例によって最近記憶があちこち曖昧で、ジェーンさんが特定の作品の誰かに似ているとか、そういうことは言えないんですけど。ピルチャーさんの作品には、老若合わせてさまざまな女性の生き方が描かれているところが好きでした。自然やインテリア、ファッションなどの描写も。

*ジェーンさんのすてきな庭の様子はこちらからご覧になれます。番組では触れていなかったけど、ティールームなどもあるようです。


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翻訳書ドミノ 第21回 『ヴァルハラ最終指令』

(2016/08/19)

 きょうは翻訳書ドミノの21回。著者が「軍人経験のあるイギリス人」つながりで『ヴァルハラ最終指令』(ハリー・パタースン著・井坂清訳)へ。ハリー・パタースンはジャック・ヒギンズの別名義。ゴールディングとヒギンズは教師の経験があるところも共通しています。

 原書は1976年刊行、邦訳は1979年初版ですが、わたしは最近読みました。
 『ミステリー&エンターテインメント700』(河田陸村・藤井鞠子編著・1996年東京創元社)によると、『鷲は舞い降りた』『脱出航路』を書いた70年代半ばからの10年間がヒギンズの脂の乗りきった時期だったとか。本書はその時期の作品ですね。

 わたしにとって、ヒギンズ作品は男女ともにかっこいい登場人物が出てくるところが魅力なんですが、本書でもその期待は裏切られませんでした。おもな登場人物のなかで、女性はドイツ軍の捕虜となっているクレール・ド・ボービル(貴族の夫人)とクローディーヌ・シュヴァリエ(ピアニスト)の2人。どちらも強い人ではないんだけど、いざというときには毅然としていて、男女を問わず読者から支持されそうな人物造形でした。

 男性登場人物では、主人公ではないんですけれど、ちょっと高齢寄りのポール・ガイヤールが魅力的でした。著名な作家で閣僚経験もあるというフランス人。医師の資格を持っていて、若いときに五輪のスキー競技で金メダルを取ったこともある。このトゥー・マッチで嫌みになりそうな設定も、ヒギンズが書くと大丈夫なんだなあ。「腰のまわりにも年月とともに肉がつき、ほんとうのところ、調子がいいとはいいがたかった」なんて告白もありますしね。

 戦争が背景になっている作品で、登場人物があまりにかっこよく描かれていたり、自己犠牲が美化されている感があったりすると、ちょっと不安になることがあるのですが、本書は戦争(人と人の殺し合い)のむなしさもしっかり描かれていると思います。「○○人だから」という単純な理由だけで悪いやつが出てこないところもいい。

 いろんな意味で安心して読め、そして満足感を得られる本でした。

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(↑「男性向け!」な感じの表紙ですが、ヒギンズの作品は女性もすごく楽しめると思います。)


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物語との距離

(2016/08/11)

 先月、ジョージ・マクドナルドの『北風のうしろの国』について少し書きました(記事はこちら)。きょうは先月書きそびれたことをまた少し。
 この本、マクドナルドが元聖職者ということと、時代もあると思うんですけれど、なかなかお説教くさいところもありました。でも、それがわたしは別に嫌じゃなかったんです。子どものときに読んだら、たぶんお説教くさいとも思わなかったのではないかな。読書会では「『若草物語』もお説教くさいよね」なんて話も出ましたが、『若草物語』のお説教くささにわたしが気がついたのは、大人になってからだったように思います。

 子どものころから海外の物語が好きだったのは、日本の物語よりもなんとなく「明るい」ように感じていたからだったんですけど、いま振り返ると、「明るい」というよりも「遠い国の話だからなまなましさをあまり感じない」というほうに近かったかもしれません。
 そんなわけで、日本の話だと「教訓めいていて嫌だな」とか「道徳の教科書みたい?」とか感じそうなエピソードも、わりと素直に受けいれていたような気がします。
 ただ、遠い国の話でも「別世界」と感じるところまではいかず、どこかで自分が暮らしている日常生活とのつながりは意識していたんじゃないかと思います。以前、こちらの記事で、渡辺由佳里さんの「読書の積み重ねで道徳的なことを教えてもらったりした」という言葉にからめて「真の勇気ややさしさは本を通じて学んだ気が」すると書きましたが、わたしの場合はほとんどが外国の物語を通してでした。本を通じて学んでも、実践できるようになるかどうかは別問題ですけど(汗)。
 
 『北風のうしろの国』は、海外小説が持つ「自分との距離があるからこその影響力」についてあらためて考えるきっかけにもなりました。

*9月3日(土)開催の東東京読書会(わたしが世話人のひとりをしています)、ただいま参加者募集中です。詳しくは翻ミスシンジケートサイトの告知をご覧になってください。ツンデレ男女が出てきてロマンスもあり、人間ドラマが楽しめる作品が課題書です。読書会は初めてという方も発言しやすい内容かと思うので、ご興味のある方はぜひ↓!

http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20160731/1469926308



プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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