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「アメリカで起こっている新しい出版のかたち」

(2015/12/31)

 ことしもあっという間に大晦日! 2015年最後の更新はこちらの記事にちらっと書きましたイベント、「アメリカで起こっている新しい出版のかたち」について。堺三保さんと渡辺由佳里さんの対談形式でした。

 堺三保さんは以前から生でお話をうかがいたいと思っていたのですが、堺さんが出演されるイベントはコアなSFファンが対象なのかなと思われるものが多く、わたしは話についていけないかも……という思いから二の足を踏んでいたのでした。ところが「アメリカで〜」では堺さんが冒頭に「なんかきょうはアウェー感が……」とおっしゃっていたので笑ってしまいました。

 少人数でドリンクとおつまみを楽しみながらの内輪な雰囲気の会でした。トピックのせいもあって翻訳者の方が何人も。ツイッターでは存じあげていたけれど、という方にもじかにごあいさつできて、そういう面でもわたしにとっては充実の会でした。

 当日出たお話をごく一部ですが箇条書きにします。わたしのメモと記憶をたよりに書いているので、由佳里さんと堺さんのコメントの再現というわけではありません。

・アメリカでは個人出版(電子出版)からの収入が増えてきている。該当するのは大手から出すと刷り部数が少ない作家。刷り部数が少ないとすみずみのリアル書店まで行き渡らない。
・個人出版の増加につれ、フリー編集者の存在価値が高まっている。
・大作家は大手から出したほうが得。
・このごろウケているもののなかには、心地よさがあるだけで構成がめちゃくちゃな作品も。日本のアルファポリス、なろう系から出てくる作品と通じるものがある。
・アメリカではAmazonなどでレベルの低い読者レヴューは淘汰されていく。ほかの読者から「ちゃんと読んでないんじゃないの」といった指摘があったりするため。
・日本人作家がアメリカのSF界で注目されているのは、同工異曲だったアメリカ作品と異なり、ニッチになっているところを攻める形になっているから。
・ミステリでは日本の本格作品がアメリカでウケる可能性あり。いまアメリカではいい本格作家がいないが、根強いコロンボ人気を見ても、本格好きは少なくないはず。

 読書をめぐる環境に関して、アメリカの学校では読む・調べる・書く・議論するという訓練が重視されているというお話にあらためて考えさせられました。母語や文化が違う移民の国という背景が強く影響していることですが、その書く力はたとえばネット書店のレヴューにも反映されていたり、議論の訓練を受けていることは打たれ強さに反映されていたり。何もかもアメリカに倣う必要はもちろんないけれど、この部分の訓練の強化は日本でいまどれくらいされているのでしょうね。よい指導者がいてこそだと思うので、そう簡単にはいかないと思うんですけれど。「いやな体験」になっては逆効果ですし。

 この「アメリカで〜」と「英語で仕事をする」の2回のイベントでは、3年前に由佳里さんのmeet-upで知り合ったMさん、Tさんと会場でお会いできたことも楽しかったです。

 さてさて、2015年もあとわずか。みなさまどんな大晦日をお過ごしでしょう? どうぞよいお年をお迎えくださいませ。来年もゆるゆる更新していきますので、またのぞきにいらしてくださいね。

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翻訳書ドミノ 第16回

(2015/12/23)

 きょうは翻訳書ドミノの第16回。主人公が「走ることが好き」つながりで、前回の『セプテンバー・ラプソディ』からシャロン・クリーチ作『ハートビート』へつなげます。



 カーネギー賞とニューベリー賞の両方を受賞している著者による散文詩の形をとった物語。余白が多く、字数は少ないのだけれど、伝わってくるものはとても大きくて、うなりながら読みました。ガルル……あ、これはうなりちがい(笑)。冗談はさておき、伝える手段は「言葉を尽くす」だけじゃないということを再認識させられた作品でした。

 「わたし」ことアニーのお母さんのおなかには赤ちゃんがいます。いっぽう、同居しているおじいちゃんは記憶が混乱したり、できないことも増えてきたり。わたしはこのおじいちゃんがとても好きでした。実際に同居しているとつらいこともありそうだけど。赤ちゃんに部屋をゆずるために、梁にロープをかけよう、なんて言われたら……。

 走ることと絵を描くことが好きなアニーはとても頭のいい子です。自分がなんのために走るかを知っている。児童書ですが、大人も「なんのためにこの仕事をしているのか」とか、迷ったときや疑問を持ったときは特に、胸にひびくものがあると思います。

 生まれくる命と老いて(消え)ゆく命。アニーは美術の宿題で百日間、ひとつのりんごを描きつづけます。アニーが描いた百番目のりんごは「小さくつややかな茶色い種ひとつ/涙の形をして/りんとして/古くもあり新しくもあり/ひっそりとして/かつ/秘密に満ちた/もの」。

 余白に、走るアニーのパラパラ漫画が描かれていて、これがまたいいんです。ほんとにシンプルな絵だけど、走るアニーの喜びが感じられて。装丁もすてき。カバーをはずすとがらりと印象が変わります。

 タッタッ、タッタッ


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英語と本に関するイベント

(2015/12/15)

 英語と本に関するイベントふたつに参加してきました。ひとつは前回の記事にも書いた「英語で仕事をする」ー海外で、国際企業で、"使える英語"とは?。もうひとつは「アメリカで起こっている新しい出版のかたち」。どちらも企画が作家・翻訳家の渡辺由佳里さんでした(由佳里さんのイベントについては当ブログで過去にこんな記事も書きました)。

 「英語で仕事をする」のほうは前回の記事に書いたような気持ちがあることと、講演者の佐々木順子さん、塚越悦子さんのお話をうかがってみたいと思ったため申しこみました。
 佐々木さんも塚越さんもお話が面白かったのは共通ですが、個性はまったく異なりました! 佐々木さんは初対面でも相手をリラックスさせる話術と包容力のある雰囲気をお持ちの方で、塚越さんは質問者にアドバイスする際にまずきっちり問題点を整理されるところが印象的でした。
 あとで驚いたのは、佐々木さんが大手IT企業で部下を率いるようになった当初はいまと正反対に近いタイプの上司でいらしたと知ったとき。魅力的な人って、生来そういう人なんだろうと思ってしまいがちですが、実は壁にぶつかって自分を変えてきた方もいらっしゃるんですよね。「人って変われるんだ」のすてきな例だと、自分の将来にも希望を見た気分です。まずは変わる努力をしなきゃですけど、もちろん。

 由佳里さんのお話では「ネイティブのような完璧な発音」に関する部分が、刺さりました(笑)。
 ほんと「ネイティブっぽい発音かどうか」にこだわる人多すぎなんですよね……とか言いつつ、わたしもまだ気になってしまうひとりなんですけど(苦笑)。
 「ネイティブっぽい発音のうまさ=英語力」ではないし。これってある程度、英語もしくは英会話を学んだ経験のある人なら、わかっていることのはず。なのに、なのに……なんですよね〜。

 2時間のイベントは最初の1時間が講演者お三方のお話、残りの1時間がQ&Aという構成でした。Q&Aではパートナーとの関係に関する相談や原書読解力のレベルアップ法などなど、質問の挙手が絶えることがありませんでした。参加者に積極的な方が多かったこともあると思いますが、発言しやすい雰囲気ができていたということもあったと思います。
 もうひとつのイベント「アメリカで起こっている新しい出版のかたち」についてはまた別記事で。


↑渡辺由佳里さんのご本。こちらを読むと由佳里さんも壁にぶつかりつつ、いまのご自分を作っていらしたんだなとわかります。

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英会話レッスンのことなど

(2015/12/11)

 先月後半から、わたしにしては外出の予定が立てこんでいたりして、ヒジョーにひさしぶりの更新です。ここのところ、記事の更新もしていないのにブログを訪問してくださる方がなぜか多めで「は、早く更新せねば」思っていたのですが。

 さて、今週は早く使ってしまいたい個人レッスンの時間が2回分残っていたため、一年以上ぶり(!)に英会話レッスンを受けてきました。2回とも出版翻訳関係者が集まる忘年会の前に行ったので、英会話→忘年会コースで両日ともいやはやよくしゃべったぜ(笑)。
 いつもは仕事がらみで英語ネイティブに質問したいことが出てくるとレッスンの予約を入れていたのですが、今回は質問はあまりなかったのでほぼずっとフリートーク。
 アメリカ人の先生とイギリス人の先生のレッスンを1回ずつ受けたら、イギリス英語には特に耳が慣れていないなあと感じました。何度も聞き返しちゃった。
 でも、このごろHuluやNetflixで海外ドラマを頻繁に見るようになって、リスニング力は以前よりマシになったかも。あくまでも当社比ですけど。
 あと、英会話のCDをかけながら出かける準備をし、声に出してリピートしてから行ったのだけど、こうすると英語の出てきかたがちょっぴりスムーズだった気がしました。まさに付け焼き刃ですが、会話の練習をさぼっていて、ひっさしぶりに英語をしゃべるときなど効果あるかも。

 わたしのこれまでの経験だと、翻訳者が原著者と会ったり、やりとりすることはそんなにありません。ただ10年以上前ですが拙訳書の原著者が来日したことがあったり、また昨年からロビン・スローン(『ペナンブラ氏の24時間書店』)、スーザン・ブロックマン(トラブルシューターズ・シリーズ)とメールでやりとりをすることがあったので、英語を書く・聴く・話す力を総合的にアップしたいという気持ちはあります。そんな思いもあって、先日はこちらのイベントに参加してきました。こちらのイベントのことも近いうちに記事にできればと思っています。


↑ホームズ翻訳家であり、海外のシャーロッキアンや原著者と親しく交流されている日暮雅通さんのご本。日暮さんみたいになりたいわん。

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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