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敷居とハードルと垣根

(2015/08/29)

「敷居が高い」はこのごろ誤用を指摘されることが多い言葉ですよね。日本語入力システムATOKの校正支援解説(←このあいだ契約を切りかえて初めて使ってみました)では“「自分には分不相応」「難しそうで気後れする」などの意味で用いられることがあるが、「相手に不義理なことをするなどして、その先方のところに行きにくい」というのが本来の意味。”と出ます。本来の意味に「ハードルが高い」という感覚がちょっと加味されたり、混同されたりした結果の誤用でしょうか。

 なんて、他人事のように言ってますが、わたしも間違った使い方をしていたひとりです。世話人を務めている読書会で、参加者さんに書いていただくアンケートに「読書会に参加しようと思ったきっかけ」の選択肢として「敷居が低そうだった」という項目を入れていた時期がありました。あるとき「あ、これは違うな」と思い、ひっそりと(笑)「気軽に参加できそうだった」という表現に変えたのでした。

 たしかに昔のドラマや両親などの会話を思い出すと、「敷居が高い」という言葉を使うときは「○○さんには(不義理をして)長いことご無沙汰してしまっているからな……」とかそういう場合が多かった気がします。
 いっぽう「ハードルが高い」という表現は能力の話に限定されてしまう感じがあって、「敷居が高い」が誤用されやすい「気後れする」という場面に使うにはいまいちです。

 わたしは最近「垣根」という言葉が便利なのではないかと思っています。「垣根」は「あいだを隔てるもの」という意味で比喩的に使えるし、「心の垣根」などと言う表現もありますし。調べてみると「垣根」も「垣根を取り払う」は慣用表現としてあるけれど、「垣根が高い・低い」という言い方は辞書には載っていないんですけどね。

 ところで、↑にも書きましたわたしが世話人のひとりをしている東東京読書会が9月27日(日)に開催されます。ただいま絶賛申し込み受付中です。詳しくはこちらの告知をご覧ください。課題書の『シャドー81』は40年近く前の作品ですが、いまでも『東西ミステリーベスト100』などにランクインする傑作冒険小説。映画で言うなら〈エアポート○○〉シリーズ+〈スティング〉といった感じで痛快な作品です。東東京読書会は開放的で自由な雰囲気なので、読書会は初めてという方もお気軽にご参加ください。




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50歳記念同窓会

(2015/08/22)

 まだ開かれてないんですけどね、↑というのが高校同級生有志によって計画されているらしい。友人へのメールに「50歳記念という言葉が胸にしみる」と書いたら、「え、わたしたちのこと? 高校創立じゃなく?」というレスが返ってきた(笑)。

 日本では還暦でお祝いをするけれど、欧米では「Big Five Oh」といって50歳が節目の年として重視されますよね。この Big Five Oh という言い方を初めて目にしたのはたしか小沢瑞穂さんの『やっとひとり』でだったかと思う。6月に誕生日を迎えた大学時代の友人にカードを送ったら、ありがとうメールには「Half Century Old B-day」という言葉が。半世紀……やめて、その言い方(苦笑)。



 同窓会とまではいかないけれど、去年の暮れに高校1年のときのクラスメイトの集まりがあった。集まったのは男子2名、女子10名。わたしはほぼ30年ぶり(!)という人もいたのだけど、男女ともに昔のまんますぎてびっくりした。30年というと「外見は変わってたけど、話したら昔のままだった」ということが予想されるのでは。でも、反対だったんですよ! 変わってなかったのは外見。で中身(?)に関しては、「あ、この人ってこういう人だったんだ」という新鮮な驚きがわたしはわりとあって。もちろん「うんうん、こういう感じだったよね」という部分もあったのだけど。
 そのとき再会したクラスメイトとの話で「あの高校って、違うタイプの子がうまく共存していたよね」という話になった。まあ、クラスによってちょっと事情は異なったはずだけど、うん、1年のときのクラスは特に行事などの際はクラスでそこそこまとまりつつ、ふだんは適当なグループに分かれてうまくいっていた気がする。何がよかったんだろう。みんな高校生にしては距離のとり方がうまかったのかな。
 ちなみにわたしの誕生日は10月。あと2カ月だ~。

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翻訳書ドミノ 第13回

(2015/08/09)

 本日は翻訳書ドミノの第13回。“主人公が冒頭で失神する”つながりで『遠い夏の英雄』へ。前回取りあげた『火星の人』は宇宙飛行士であるマーク・ワトニーが火星の砂嵐のなかで失神しますが、『遠い夏の英雄』は米海軍SEAL隊員のトム・パオレッティが要人救出作戦の途中で爆風に吹き飛ばされ、失神するところから物語が始まります。

 『遠い夏の英雄』は、わたしもこれまでに4作を翻訳しているスーザン・ブロックマンの〈トラブルシューターズ・シリーズ〉の第1巻。翻訳は山田久美子さんです。



 〈トラブルシューターズ・シリーズ〉は1作ごとにヒーロー&ヒロインが異なり、物語も1話完結。第1巻のヒーローを務めるトム・パオレッティは米海軍特殊部隊の精鋭、SEAL第16チームの隊長を務めています。部下の信頼も厚く、超かっこいい男なのですが、彼について、読んだ人のあいだでまず話題にのぼるのがその頭髪問題。

 いまの彼は、後退している生え際もまったく気にかけていないかのように、髪を短く刈りこんでいる。たしかにてっぺんは急激に薄くなりつつある。でもそれは問題ではなかった。短い髪は彼によく似合っていた。
 この点には疑いの余地がない。あと二、三年もすれば、トム・パオレッティ――ハイスクール時代ずっとポニーテールで通した男――は世界でいちばんハンサムな禿げの男になるだろう。(p.47)


 ↑これがヒロイン、ケリーがトムと再会した直後の描写ですからね(笑)。ロマンス小説のジャンルでつぎつぎ意欲的な挑戦をしているスーザン。彼女にとってはヒーローの頭髪も多様性の一部ということでしょうか。

 ネタっぽい部分から入りましたが、本書はロマンスとサスペンスのバランスもよく、ストーリーがほんとによくできた作品。ロマンス小説ファン以外の方も、ラストはしみじみと感動するのではと思います。特に戦時の切ない恋愛が描かれた映画――『誰がために鐘は鳴る』や『カサブランカ』――などがお好きな方は気に入る確率大ではないかと。

 最近流行の(?)高齢者が活躍する本でもあります。そのいっぽう、18歳と20歳のういういしい恋愛も描かれていて、ああ、この本て考えれば考えるほどよくできてます。

 ロマサスのなかでは骨太なシリーズなので、男性読者も楽しめるのではという声をときどき耳にします。たしかに! 男同士の友情なども描かれていますしね。男性で既読の方、もしくは読んでみようという方がいらしたら、感想をお聞きしたいなあ。
 いまは古書しか流通していないのが非常に残念。

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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