FC2ブログ

07

29

コメント

ブロックマンについて感じたこと

(2015/07/29)

 7月22日の毎日新聞夕刊にスーザン・ブロックマンのトラブルシューターズ・シリーズに関する記事が掲載されました
 スーザン・ブロックマンについては6月にもコラム〈憂楽帳〉で齊藤希史子記者が取りあげてくださいましたが、22日の記事掲載はその取材の際に齊藤記者がさらに詳しくブロックマンを紹介したいと思ってくださった結果です。
 きょうは、6月のブログ記事にちらっと書きましたブロックマンとのメールのやりとりについて書きたいと思います。

 ブロックマンとやりとりすることになったのは、6月のコラム執筆にあたり、齊藤記者からシリーズ最新刊『薔薇のウェディング』の訳者であるわたしに取材のお申し込みをいただいたことがきっかけでした。齊藤記者にブロックマンの考えをきちんとお伝えをできるよう、エージェント経由で本人に質問状を送ったのですが、最初はうまく連絡がつかず(その後、エージェントからも連絡がついたようなので、最初はたまたまだったかと思われます)。そこでブロックマンへ@ツイートを送り、事情を説明してみたところ、彼女からレスがあり、メールでのやりとりが始まったのです。
 齊藤記者からのご質問は、「渋谷区でパートナーシップ条例が初めて施行されたばかりの日本をブロックマンさんはどう見ているか」といった内容でした。↑の新聞記事リンクをご覧になると理由はおわかりいただけると思いますが、同性婚は彼女にとって非常に重要なテーマのひとつです。しかし、連絡がつくまで少し時間がかかったこともあり、ブロックマンにはすみやかに回答をもらう必要がありました。
 と・こ・ろ・が。彼女から返ってきた回答には、同性婚が認められたことによって(回答をもらった時点では全米ではなく州ごとの判断でした)LBGTのメンバーがいる家族にどれだけの幸福がもたらされたか、アメリカにおける人権運動とそれに対する抵抗運動、そして日本のLGBTの人々とその支援者へのメッセージが、とても短時間で書いたとは思えないほど美しくまとまっていたのです(さすがにメールには”whew!”と書いてありましたが)。
 さらに冒頭には「ミズ・サイトウがこれを全部は、と言うよりほとんど使えないだろうことはよくわかっています。でも、こうすれば情報はたっぷりだし、引用したいと思ったときの選択肢も多くなるでしょ」との言葉が添えられていました。
 いやはや、あまりにパーフェクトな対応にわたしはこのメールを受けとったあと、しばらく言葉を失いました。

 齊藤記者が7月にも再度ブロックマンのために紙面を割こうと考えられたのは、ブロックマンの著作に加えて、彼女のメッセージ・対応のしかたに人を動かす力があったからだと思います。メールのやりとりを通して、わたしはブロックマンの気さくさと前向きさ、誠実さを強く感じました。

 ブロックマンも二度にわたる記事掲載をたいへん喜んでくれたので、本当によかったなと思います。
 今回わたしはブロックマンと齊藤記者というふたりのすばらしいプロフェッショナルのあいだでとてもいい経験をすることができました。いっぽう、あらためて力不足を痛感した部分もありました――おもに英訳部分なのですが(汗)――ので、その問題をどうするか考えつつ、今回の経験を今後に生かしていければと思っています。

*未読だけれど「トラブルシューターズ・シリーズ」に興味が湧いたという方へ
毎日新聞の記事をきっかけに、スーザン・ブロックマンという作家の存在を知った方が多くいらっしゃるようで、本当に嬉しいです。
トラブルシューターズ・シリーズは現在12作めまで邦訳刊行されていますが、ゲイの敏腕FBI捜査官ジュールズが気になるという方は以下の順番でまずは3作読んでいただけると、楽しんでいただけるはずです。









07

16

コメント

中学生向け夏休み推薦図書に選ばれました!

(2015/07/16)

 『ペナンブラ氏の24時間書店』(拙訳)が静岡県の中学生向け夏休み推薦図書に選ばれました。

中学生向け夏休み推薦図書

 先日この件をツイッターでつぶやいたところ、相互フォローのみなさんがRTしてくださったり、おめでとうメッセージをくださったり、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。静岡県の選定担当の方々にも心よりお礼申しあげます。

 『ペナンブラ~』のほかにはどんな本が選ばれているのかなと検索してみたら、こちらのページにPDFファイルがアップされていました。中学生向けは全部で5作、翻訳書は『わたしはマララ』と『ペナンブラ~』の2冊。そこで気がついたんですけど、今回の選定のきっかけは、昨年、読書推進協議会の「若い人に贈る読書のすすめ」の一冊に選ばれたことではなかったかと。あらためて読書推進協議会のみなさまにもお礼を申しあげたいです。

 中学生はデジタルネイティブと呼ばれる世代ですよね。主人公のクレイとも年齢の近いみなさんが、今回の推薦図書選定をきっかけに『ペナンブラ~』を読んでみてくだされば嬉しいなあと思います。そしてどんな感想を持たれるのか、興味津々。

 最後に『ペナンブラ~』の小ネタ(?)をひとつ。本書を読むと著者ロビン・スローンがとても遊び心に富んだ人だということはすぐにわかるので、アメリカの読者のあいだでは「あの登場人物の名前は実在のあの人物から取ったにちがいない」「あの○○のモデルはアレだよね」と憶測する人がつぎつぎ登場。わたしが見かけたそうした憶測のひとつにクレイが昔飼っていたペット――ハムスターのモフモフ・マクフライ(原書ではFluff McFly)――の名前の由来があります。この「マクフライ」は映画の《バック・トゥ・ザ・フューチャー》の登場人物からとったのではないかというのです。「おー、なるほど!」と思い、映画を見直してみたわたしは、これは当たっている確率が高いのではと思いました。本書と《バック・トゥ~》の両方をご存じの方、いかが思われますか?

07

11

コメント

翻訳書ドミノ 第12回

(2015/07/11)

 今回は翻訳書ドミノの第12回。前回の『テメレア戦記 Ⅰ』から「主人公によくくり返す言葉がある」つながりで『火星の人』(アンディ・ウィアー著/小野田和子訳)へ。テメレアは「ふふん」、『火星の人』の主人公、マーク・ワトニーは……もちろん「イエィ!」(笑)



 もうね、この本はユーモア溢れる語り口がたまらんのです。先日、映画版の日本公開と邦題(『オデッセイ』)が決定して、ツイッターのタイムラインがざわめいていたけど、わたしは最初に映像が一部公開された時点でちょっと不安になりました。もしかしして、ふつうのサバイバル感動ものとして撮られてるのだろうか、原作のキャラクターのおもしろさ、滑稽さはどこまで生かされてるのかと。原作は主人公だけじゃなく、彼を救出するために地球でドラマを繰り広げる人たちも一癖も二癖もあっておもしろいんですけど。

 マーク・ワトニーはたぶん私的ナイスガイ・オブ・ザ・イヤー2015(刊行は去年ですが、わたしが読了したのはことしなので。ことしはまだ半年あるけどネ)。サバイバルに強くてユーモアも忘れないなんて最高でしょ。
 訳文も最高で、もう「すごーい、すごーい」と思いながら読みました。わたしもこんなふうに読むひとを楽しませられる翻訳ができるようになりたい。

 わたしはジャンル分けに詳しくないのだけど、本書はハードSFに入るのかな? 科学的な記述は多めです。
 以前のわたしは「こういう科学的な部分も細部まで理解して読まねば」と気負って自滅してしまうパターンだったんですが、最近は「なんか科学的な考察をしているわけね」とか「要するに深刻なピンチなのね」というおおざっぱなつかみ方で、よくわからない部分があってもとにかく先へ進むことにしています。そのほうがわたしは物語が楽しめるとわかったので。

 サバイバルものですから最後までハラハラさせられます。
 加えて、すでにユーモア、滑稽という言葉をそれこそ何度もくり返しているとおり、読書中にニヤニヤしたり、くすくす笑ってしまう作品です。でも、いきなりグッと目頭が熱くなる場面もあったり。それは作品の根底に流れているのが、ラスト近くでマーク・ワトニーが述べる、つぎのような考え方だからではないかと思います。

 ばかな植物学者ひとりを救うために、なんでそこ まで?
 (中略)一部はぼくが象徴しているもののためだろう――進歩、科学、そしてぼくらが何世紀も前から描いてきた惑星間宇宙の未来。 だか、ほんとうのところは、人間はだれでも互いに助け合うのが 基本であり、本能だからだと思う。そうは思えないときもあるかもしれないが、それが真実なのだ。


 話題作なのですでにお読みの方も多いと思いますが、未読の方は(ふだんSFを読まない方も)即チェック!の価値ありですよ~。


07

04

コメント

〈エドワード・アーディゾーニ展〉

(2015/07/04)

 銀座教文館で開催されている〈エドワード・アーディゾーニ展〉、いよいよ会期終了(7月13日)が近くなってきました。
 途中で展示替えがあるとのことだったので、わたしはフリーパスを購入し、2回観にいってきました。もう1回行けるといいな。

 わたしがアーディゾーニの絵と出会ったのは、小学生のころに買ってもらった『年とったばあやのお話かご』(エリナー・ファージョン作)。

年とったばあやのお話かご

 翻訳者などをしているわりにわたしは本に対する執着がなく、手放してきてしまった本が多いのだけれど、『年とったばあや~』はひとり暮らしを始めたときに実家から持って出て、いまも手元にある数少ない本の一冊です。

 アーディゾーニの絵については宮崎駿さんが『本へのとびら』のなかで触れられています。

「この人の描く愛らしい絵は、幼児の世界にぴったりです。(中略)こういう風にペンで描くのかと参考になりました。後の時代に出てくるペン画のようにギスギスしていないんです」




 アーディゾーニの挿絵が好きと言いつつ、彼自身の著作については知らなかったわたくし(汗)。『チムとゆうかんなせんちょうさん』のことも5月の東東京読書会でアーディゾーニ・ファンの参加者さんから教えていただきました。
 展覧会では『チムとゆうかんなせんちょうさん』の初版完全復刻版が展示されていたり、『マローンおばさん』も一部複製による原画を見ながら物語すべてを楽しめたりと、本当に充実した内容になっています。
 後期日程で展示の『Lucy Brown and Mr.Grimes』もとてもかわいくて、なおかつ心温まる話でした。

 アーディゾーニのファンの方はもちろんですが、「ああ、こういう昔懐かしい感じの絵好きだな」という方もぜひ! アーディゾーニの絵に魅了されて彼の作品を蒐集された佐藤英和さんの思いや展覧会関係者の方々の思いが満ちているのか、会場にとてもいい空気が漂っている気がしました。


プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード

QR

*32*

Designed by

Ad