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ことし最後の読了本

(2014/12/31)

人間が“人間のプロ”になれる頃には、八十にはなっているだろう。

というのは、今年最後の読了本『人生は、だましだまし』からのアフォリズム。やっぱり80歳なのか――というのが、この一文を読んでのわたしの最初の感想。

人生は、だましだまし (角川文庫)人生は、だましだまし (角川文庫)
(2005/03)
田辺 聖子

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 40歳になったときに感じたのが「なんだ、40歳って中身は意外とコドモじゃん」ということだった。それを大学時代の恩師に話したところ、当時80代にはいられて2、3年たっていた先生は「わたしがいろいろものごとが見えてきたな、と感じたのは80歳を過ぎてからでした」とおっしゃった。そのときは「えええ、まさかそんな」という気持ちが強かったけれど、いまは先生のお言葉がなんとなく理解できるくらいにはわたしも年を重ねてきた(苦笑)。80歳かあ。わたしたちの世代は到達するまで寿命があるかどうかという問題もあるなあ。

 田辺聖子さんは短篇をいくつか読んだことがあったのだけど、エッセイを読んだのはたぶん初めて。テレビのインタビューなどで拝見していたとおりのチャーミングなお人柄が感じられる本でした。自分とはまったくタイプが違う方だからこそ憧れます。

 2014年も本日でおしまい。ことし拙ブログをのぞいてくださったみなさま、ありがとうございました! よろしかったら、来年もまたのぞいてくださいませねん。

 さて、もう大掃除はあきらめムードなので、これから普通掃除に取りかかります。
 みなさま、どうぞよいお年をお迎えください!

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翻訳書ドミノ 第8回

(2014/12/24)
 ひええ、気がついたら前回から3カ月以上もたってしまいましたが(汗)、本日は翻訳書ドミノの第8回です。
 前回の『パイド・パイパー』から“第二次世界大戦下の子供たちが生き生きと描かれている”つながりでノエル・ストレトフィールドの『ふたりのエアリエル』について書きます。
ふたりのエアリエルふたりのエアリエル
(2014/07/23)
ノエル ストレトフィールド

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 主人公はソレル、マーク、ホリーの三きょうだい。幼いときに母を亡くし、海軍将校の父も1942年の夏、乗っていた軍艦が撃沈されて消息不明になってしまいます。そこで、三人はそれまで没交渉だった母方の祖母に引き取られることになるのですが、実は母の実家は代々名優を輩出してきたイギリス演劇界では知らない人のいない名家で……というお話。邦題にはいっている“エアリエル”は、シェイクスピアの『テンペスト』に登場する大気の精霊、エアリエルのことです。
 ふたりの少女が演技力を競い合うことになるという展開は、マイルドな『ガラスの仮面』といった印象。ソレルら三きょうだいは別に邪険に扱われたりするわけではないのですが、雰囲気的に『小公女』を思い出したりもしました。
 ときどきこういう自分が子供時代に読んでいたような児童書を読むと、気持ちが安らぎます。子供向けの作品ですから、人物描写やストーリー展開などはとてもシンプルなのですが、不思議と物足りなさは感じません。
 1944年の作品で、レトロな感じのD. L. Maysの挿絵もよく、大人も楽しめる本です。もちろん、演劇やバレエなどに興味のある子供は引きこまれる物語だと思います。
ふたりのエアリエル (450x800)
(D. L. Mays の挿絵)
 ラストシーンが1943年のクリスマスなので、いまの時季読むのにもぴったりです。

 今回は“第二次世界大戦が舞台の冒険小説”つながりで『女王陛下のユリシーズ号』にしようかとも思ったのですが、ユリシーズ号はまた別の機会に。

 ではではメリー・クリスマス!

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刺激の少ない作品(?)と読書会のこと

(2014/12/20)
 2年ほど前からボランティアで翻訳ミステリ読書会の世話人をしています。9月にその読書会後の懇親会で参加者さんから「最近の作品で島村さんのお薦めってありますか?」と訊かれました。前回の記事でことしわたしが投票した作品をリストアップしましたが、そのときもこのリストにはいっている作品をいくつか紹介しました。質問者さんが「あまり刺激の強すぎないものがいい」という方だったので、新しい本ではないですがフェイ・ケラーマンのピーター・デッカー&リナ・ラザラス・シリーズもお薦めしました。
 と・こ・ろ・が。ほかの参加者さんから「島村さん、あのシリーズって扱われる事件そのものはわりと陰惨じゃありませんでしたっけ?」とのご指摘が。そういえば、第2作の『聖と俗と』は死後そんなに時間が経過していないのに、歯科医の鑑定が必要なほど遺体の損傷が激しかったような気がする……と記憶がよみがえってきました。
 ピーター&リナのシリーズは前にもこのブログで書きましたが、謎解き以外の部分にとても魅力があるので、扱われている事件自体については記憶が薄れていたりして(苦笑)。いや、お薦めする側としては苦笑ですませてはいけませんね。わたしも残酷な描写が多かったり、小児性愛が扱われていたりして刺激が強い作品は苦手だったりするので、ちゃんと頭のなかを整理して、旧作も含めて適切な本を挙げられるようにしなければ。

 さて、上にも書きましたわたしが世話人のひとりを務めている東東京読書会が1月17日に開催されます。ただいま絶賛受付中です。詳しくはこちらの告知をご覧ください。
 当読書会は同じ本を読み終わった者同士がその本についてわいわい語り合う気楽な会です。「読書会は初めて」という方も毎回何人かいらっしゃいます。「このキャラクターかっこいい」話から、「ここは意味がわからなかった」という質問→みんなで考えるという展開まで、なんでもありです。ちょこっとも含めて本好きの方のご参加、お待ちしております。

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ことし投票した作品2014

(2014/12/12)
 12月にはいり、ことし刊行された本の各種ランキングが発表されていますね。わたしも週刊文春ミステリーベスト10(海外版)、翻訳ミステリー大賞一次投票、ヨコミス2014に投票しました。このうち週刊文春ミステリーベスト10がすでに発表になり、その内容が(各作品に対する投票者のコメントも含めて)電子書籍として本日から無料配布になっています。
 詳しくはこちらをご覧ください。
 ちなみにKindleストアだとこちら

 昨年と同じく、どの作品をどこに、どれを何位に、というのを抜かして、わたしが投票した作品を挙げると下記のとおりになります。

『養鶏場の殺人』(ミネット・ウォルターズ)
『秘密』(ケイト・モートン)
『貧乏お嬢さま、古書店へ行く』(リース・ボウエン)
『混沌(カオス)ホテル』(コニー・ウィリス)
『ヴァイオリン職人の探究と推理』(ポール・アダム)
『図書館の魔法』(ジョー・ウォルトン)
『容疑者』(ロバート・クレイス)
『雪の練習生』(多和田葉子)
『ブラック・アウト』(コニー・ウィリス)
『オール・クリア』(コニー・ウィリス)
『シャーロッキアン翻訳家 最初の挨拶』日暮雅通

 旧作やミステリ外の作品、和書が入っているのは、ヨコミスがことし読んだものならOKという自由なくくりだからです。
 個々の作品についてはまた別の機会に触れたいと思います。


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読書推進協議会の「若い人に贈る読書のすすめ」に選ばれました

(2014/12/12)
 拙訳の『ペナンブラ氏の24時間書店』が読書推進協議会の「若い人に贈る読書のすすめ」の一冊に選ばれました。
 詳しくは東京創元社のウェブサイトもしくは読書推進協議会のウェブサイトをご覧下さい。

 2014年の「若い人に贈る読書のすすめ」に選ばれたのは、ほかに『わたしはマララ』『鹿の王』『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』などのベストセラーや話題作。『ペナンブラ氏の24時間書店』は原著が全米図書館協会アレックス賞(“ヤングアダルトの読者に特に訴える力のある一般書”に贈られる賞)を受賞しています。日本でも同様の趣旨の推薦書に選ばれて嬉しいです。

それっぽい光がそれっぽい窓から差しこみ、それっぽい店に鋭角の影を落としている。これを聞いてすごいと思ったらあなたは三十歳を超えてますね。
Simulated light from the simulated windows casts sharp-edged shadows through the simulated store. If this sounds impressive to you, you're over thirty.

 上記は『ペナンブラ氏の24時間書店』からの引用と原文です。主人公のクレイがパソコンでペナンブラの書店の3Dグラフィクスを作成している場面なのですが、わたしは初めて読んだときにまさに「すごーい」と感銘を受けながら読んでいたので、「あなたは三十歳を超えてますね」というところで思わず苦笑してしまいました。ここ、30歳前の若い人だったら「ふんふんふん」ぐらいな感じで読めてしまうのかもしれませんねー。
 この推薦書に選ばれたのを機会に、ペナンブラの若い読者さんが増えてくれるといいなあと思います。


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〈ビリー・エリオット ミュージカルライブ~リトル・ダンサー~〉

(2014/12/06)
〈ビリー・エリオット ミュージカルライブ~リトル・ダンサー~〉を観てきました。
 2000年の映画がすごくよかったので、ウェストエンドでミュージカル化されたことを知ったときから「観たい~!」と思っていました。だから今度のライブ上映版の公開は本当に嬉しかった。TOHOシネマズ日劇と六本木は12月11日までの1週間の上映。そのあと各地で順次公開予定とのことだけど、ご興味のある方はお早めに!

 ストーリー等については↑のリンク先をご覧ください。有名な作品だから、ご存じの方も多いですよね。
 今回、わたしがこのライブ上映版を観て強く感じたのは、こういう作品に子供のころ、若いころに触れる機会があれば、偏見の少ない大人になるのではということ。2000年の映画版にも出てきたマイケル(主人公ビリーの親友でゲイ)とビリーの友情が最高! ビリー役のエリオット・ハンナくんとマイケル役のザック・アトキンソンくん、すごくよかった! 彼らの演技とダンスと歌、また別の作品で楽しめるといいなあ。

 ミュージカル版は2000年の映画よりも泣かせる場面が多かったかなという印象です。そんななか、お笑い担当的な役まわりだったビリーのお祖母さんを演じたアン・エメリーさん――1930年生まれ、御年84歳!――がフィナーレでチュチュを着て登場したら、あまりの美脚なのでのけぞりました! イギリス演劇界のティナ・ターナーと呼ばせていただきたい(笑)。

 ああ、それにしてもやっぱりミュージカルは俳優さんたちのエネルギーがじかに感じられる生で観るのがいちばんですよね。ウェストエンドでミュージカル三昧したい!
 とはいえ、こういうライブ・ビューイング版のよいところは生ではありえないアングルからの光景が楽しめたり、出演者の表情がアップで観られるところ。今回はマイケルを観るときのビリーの自然でやさしい表情をアップで観られたからこそ、感動もひとしおだった気がします。

 映画にしろ、舞台にしろ、本にしろ、片肘張らずに「そんなことにこだわったりしたらおかしいよ?」とか、自由でフェアなものの見方を教えてくれる作品はいいなと再確認。翻訳の仕事でも、そういう要素が少しでもはいっている作品にかかわれたときって嬉しいものなあ、なんてことを考えながら帰ってきました。

 自分が好きなタイプの映画や舞台を観て、感動の抽斗を増やしておくことは大事とこのごろあらためて感じています。以前は締切との関係で観劇などの予定を入れるのを躊躇してしまっていたのだけれど、こういうことのためには無理してでも時間を作ったほうが何かとモチベーションもあがるし――って、またまたわれながら単純(苦笑)。

 あああ、先月アダム・クーパーの〈雨に唄えば〉を見送ったのが悔やまれる~。

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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