FC2ブログ

09

25

コメント

〈ダディ・ロング・レッグズ〉CD

(2014/09/25)
 ミュージカル〈ダディ・ロング・レッグズ〉のCDを買いました。3月に観た舞台のハイライト・スタジオ録音盤です。舞台を観たときの感想はこちら
ashinaga3.jpg

 原作の『足ながおじさん』はジルーシャからの手紙形式なので、ジャーヴィスのこともジルーシャの目を通して描かれるだけですが、この舞台(ふたり芝居)では彼の心情が本人の言葉で語られます。これは脚本・演出のジョン・ケアードが原作からふくらませたのだと思いますが、本当にうまくふくらませてあるんですよねえ。ちょっとヘタレだったり、嫉妬深かったりするジャーヴィスがひとりの男性として立体的に浮かびあがってきます。CDを聴いて、あらためていいなと思いました。
 日本語版の歌詞はジョン・ケアードの奥さんで、レミゼなどに出演経験のある女優、今井麻緒子さん。ちょっとカントリー調の楽曲は比較的日本語の歌詞がのせやすそうだけど、訳詞の自然さは、みずから歌う立場にある人が訳したことも大きかったかもしれないと思います。
 この舞台、坂本さんと井上くんが演じられるあいだは毎年上演してほしいです。ミュージカルが苦手じゃない人はぜひ一度観てみてください。チケット、取りにくいかもしれませんが。

 3月の記事にも書きましたが、原作、実は英米ではそれほど知られていないそうな。日本では新訳も出たりしていろんな邦訳版が刊行されているし、いまも読まれてますよね? 劇場では母娘連れという感じのお客さんを見かけました。『足ながおじさん』好きがお母さんから娘さんへと引き継がれていくといいなあ。

 舞台を観たあと、英語のオーディオブックを聴いてみました。手紙の朗読という形になるので、前に書いた登場人物の演じ分けが気になることもなく、オーディオブックで楽しむのに適した作品だと思います。短いし、英語もとっても平易だし。

 日本には『足ながおじさん』にちなんで名前がつけられた〈あしなが育英会〉がありますよね。こちらに寄付をすると、夏に奨学生から手書きの残暑見舞いが届きます。ことしわたしのところへ届いたのはお正月に全国高校サッカー選手権に出場するという高校3年生からでした。高校サッカー、いつもは見ないけど、今度は見ちゃおうかな(←単純)。
あしなが

続きを読む

09

15

コメント

Love Runs Out

(2014/09/15)
 Love Runs Out という曲をラジオで聴いたのをきっかけに One Republic というバンドを好きになりました。最新アルバムNativeからの最新シングルです。

 彼らが過去にリリースした曲を調べてみたら、あー、この曲もこの曲もこの人たちだったのか! と聞きおぼえのある曲が何曲もあってちょっと情けなかったです。よっぽど好きにならないと、アーティスト名も曲名も憶えないやつ(苦笑)。

 Love Runs Outは曲だけでなくPVもすごくかっこいいです。↓




 こちらはそのメイキング。↓



 メイキング・ビデオのなかでギターのドリューが「ソフィー・ミュラーと仕事をするのはぼくたちの夢だった」と言っているので、調べてみたら、このソフィー・ミュラーさん、非常に有名な映像作家/ミュージックビデオ・ディレクターでした。もう数え切れないほどの有名アーティストのPVを担当しています。わたしがなるほど、と納得したのはEurythmicsやSadeのPVを制作していること。うん、なんか合いそう。

 PVで、バンドメンバー中ひとりで全身ゴールドに塗られているのがベース&チェロ担当のブレント。ビデオ撮影の打ち合わせの際、デザイナー風の女性(この人がソフィーさん?)に「もっとゴールドをいっぱい使いたいの」と言われ、「なるほど」と納得したものの、実際の衣装を見せられ、「え、マジ? この衣装……ピタピタ?」とちょっと慌てているところが笑えます。そのあとはいさぎよく金色になってますが。

 ギター、ベースと担当を書いたけれど、このバンドのおもしろいところは簡単な演奏ならメンバーがそれぞれ楽器を交換できるらしいこと。ボーカルのライアンは子供のころに10年間ピアノを習い、ギターのザックはクラシカル・ギターを学ぶためにスペインに留学経験があり、ベースのブレントはチェロを習っていたんだとか。あと、両親が演奏家や音楽の先生という人がいたり。そのへんが関係しているのかな。ザックはギター以外にヴァイオリン、パーカッションも演奏している映像を見ました。

 いかにもにわかファンらしく、ライブ映像やらインタビューを探してちょこちょこ見ています。新しく好きなものができるってやっぱり楽しい。

09

02

コメント

翻訳書ドミノ 第7回

(2014/09/02)
 本日は翻訳書ドミノの第7回。前回の『マルベリーボーイズ』から“子供の密航”つながりで、ネヴィル・シュートの『パイド・パイパー』へ。

パイド・パイパー - 自由への越境 (創元推理文庫)パイド・パイパー - 自由への越境 (創元推理文庫)
(2002/02/22)
ネビル・シュート

商品詳細を見る

 『マルベリーボーイズ』の主人公は子供ひとりで密航をさせられましたが、こちらは初老の紳士が子供たちにつきそいます。物語の主人公はその初老の紳士、70代のイギリス人ジョン・ハワード、元弁護士です。1940年夏、幼い子供たちを連れて、ドイツ軍に占領されたフランスからイギリスへの脱出をはかります。内陸の町から、彼は果たしてフランスの海岸へたどりつけるのか? 無事、海峡を渡ることができるのか?

 ジョンがフランスにいたのは、釣りを楽しむ目的でわざわざきな臭くなってきたフランスへと渡ったからです。まあ、彼がそんな行動に出たのには理由があったのですが、それでもその後の歴史を知る人間からすると「えええっ」と驚かざるをえません。しかし、開戦当初、ドイツ軍の強さ、侵攻の速さがわかる前は、本書に描かれているようなどこか楽観的な雰囲気もあったのかなあと思いながら読んだのを憶えています。
 子供連れの老人の脱出行ですから派手なアクションなどはまったくなしですが、違った意味でハラハラドキドキさせられます。特に体力に不安を感じたことのある人は、初老のジョンと自分を重ねて時に胸が苦しくなるような緊張感を味わうのではないでしょうか。
 こんなふうに書くと、老人萌えや中高年の読者向けの本かと誤解されてしまうかもしれませんが、本書には若い男女、ジョンの息子とフランス娘ニコルの恋も描かれています。戦時ですし、幸せな結末は迎えない恋愛です(これは物語の冒頭からわかっていることなので、ネタバレではありません、ご安心を)。解説の北上次郎さんは本書を“美しい恋愛を描いた小説でもある”と評していらっしゃいます。そして物語の終盤、ニコルが自分の恋愛を振り返ってジョンに言う言葉がすばらしくよいのです。ですが、わたしも北上さんに倣って引用したい気持ちをぐっとこらえます。彼女の言葉は本文の流れのなかで読んでこそ感動を呼ぶと思うので。
 地味な作品の部類に入るかもしれないけれど、未読の方がいらしたらぜひ一度手に取ってみてくださいね。

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード

QR

*32*

Designed by

Ad