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オーディブル体験記(2)

 きょうは前回の予告どおり、聴いてみてオススメと思った作品の紹介です。

1.One and Only Ivan
 これは洋書の書評をしていらっしゃる渡辺由佳里さんのブログで知り、ぜひ読みたいと思った作品でした。内容はこちらをご覧ください。と本の紹介はいきなり他力本願(笑)。
 このオーディオブック版のよいところはなんと言っても、ナレーションの声が主人公のゴリラ、Ivanにぴったりというところ! ツイッターを見ていたら、原書のイラストがいまいちというコメントがあったので、そういう意味でもこれはオーディオブックがオススメかも。
 子供向けなので単語も文章も平易、速度もゆっくりめです。

2.The Wonderful Wizard of Oz
 児童書ではこちらもオススメ。ナレーションを担当しているのがアン・ハサウェイで、キャラクターごとの声色の変え方が楽しいです。
 大人向けの作品でも『オズの魔法使い』からの引用ってほんとによく出てきますよね。あらすじだけでなく、登場キャラクターや冒険の途中で重要な役割を果たすアイテムを知っておくと、ほかの作品を読むときにも役に立ちます。
 邦訳では完訳版として話題のこちらがありますね。

3.The New York Trilogy
 児童書では物足りないという方はポール・オースターのNY3部作なんてどうでしょう。これは、わたしが世話人をしている読書会でガラスの街 (新潮文庫)(3部作の第1作)を課題書に選んだ関係で聴いてみたのですが、オースターの英語は聴くだけなら本当に平易です。訳者の柴田元幸さんも昨年12月のイベントで「オースターの文章はリズムがすばらしいので、ぜひ原文に触れてほしい」とおっしゃっていました。
 児童書に比べるとナレーションの速度は当然ながら速くなっていますが、耳が慣れやすいように感じました。
 あ、あと、15分ほどの著者インタビューがおまけでついてくるので、お得感(笑)もあります。
 この作品を課題にしたときの読書会の模様はこちらにレポートが載っています。
 そうそう、作品によってはオースター自身の朗読によるオーディオブックも出ています。サンプルを聴いたかぎりではプロのナレーターのほうがわたしは聴きやすい気がしましたが、これは個人の好みによって変わってくると思います。

4.Lean In: Women, Work, and the Will to Lead
 ビジネス書からも1作。こちらは昨年邦訳版LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲が出た際、著者が来日して日本でもかなり話題になりましたね。
 ビジネス書というかノンフィクションのいいところは、ナレーターの読み方があまり気にならないところ。どの作品もサンプルを聴けるのですが、フィクションの場合、登場人物ごとにナレーターの演技がかなり入ってきます。主人公は問題なくても、サンプルで聴けなかった脇役の演じ方に違和感を覚えることもありました。ノンフィクションはそういう心配がないのがいい点です。
「男女平等とかリーダーシップとか興味ない」なんて方も、これは聴いてみると意外とおもしろいかもしれません。サンドバーグは失敗談も率直に語っているし、(働き方は違っても)「なんかわたしももう少し自信を持って行動してみちゃおうかな」という気持ちを刺激される方、いると思います。ビジネス書や自己啓発書って、なんとなく停滞感があったり、気分が落ちこみ気味のときにオススメです。

 Audibleのシステムなどについてはまた次回に。
 

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オーディブル体験記(1)

 昨年の9月末から米AmazonのAudibleを利用してみました。Membership は今月中に退会する予定ですが、約5カ月利用してみた感想をまとめておきたいと思います。

*メリット
 オーディオブックはながら聴きをすれば、時間の有効活用ができる点がやっぱりいちばん嬉しいですね。ただ、集中していないと内容が追えないわたしは料理をしながらは無理でした。いちばん合ってると思うのはウォーキングをしながら聴くこと。特に最初はイヤホンを使ったほうが英語が聞き取りやすく感じたということもその理由のひとつ。年末に大掃除をしながらも聴いてみましたが、単純作業なら家事も大丈夫そうです。
 あと、目が疲れてるときにもいいですね。

*原書ビギナーにオススメかも
 最初はどれだけ聴きとれるか自信がなかったので、児童書やすでに内容を知っている作品を買ってみました。そこで感じたんですが、ふだん翻訳書を読んでいて「原文にも触れてみたいなあ」と思っている方には、紙の原書やKindle版よりもオーディオブックが向いているかもしれません。原書を読みなれていないと、知らない単語が出てきたときに意味も発音もわからなくて立ち止まってしまう場合があるかと思うんですが、オーディオブックはどんどん進んでいってくれますからね。聴きとれるところが部分的でも、すでに翻訳を読んでいる作品なら雰囲気や英語のリズム感は味わえると思います――と、いちおう翻訳を生業にしている人間として、翻訳書との合わせ技を勧めてみたり(笑)。
 オーディオブックなら、知らない単語をテキトー読みして間違った発音を覚えてしまう(わたしだ!)なんて心配もありません。

*翻訳者として便利だと思った点
 固有名詞の発音や訛った話し方がどうなるのか実際に確認できるのは、翻訳者としては便利だと思いました。
 ほかにも、ゲラが返ってくる前にその作品を聴き返しておくとか、仕事で訳す(訳した)本のオーディオブックが出ている場合は何かと利用方法がありそう。
 そうそう、先日銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)を読んだんですが、奇想天外SFの大傑作と言われるだけあって、おかしな固有名詞がいっぱい出てきて「これの発音(表記)はどうやって決めたのかな~」なんて思いながら読み進んでいました。そしたら、訳者あとがきに表記は著者の朗読によるCDの発音に合わせたと書いてありました。造語なんて、ますます悩んじゃいますものね。『銀河ヒッチハック・ガイド』の訳者あとがきは本篇に劣らずユーモアがあって、「なるほど~」という情報も盛りこまれていて、とてもおもしろかったです。

gingahitchhiker.jpg

 続きはまた今度。次回は聴いてみてオススメと思った作品などについて書きたいと思っています。

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A beautiful emotional experience

 オリンピックが始まりましたね~。
 冬のオリンピックというと、わたしはやはりフィギュア・スケート!
 著者がフィギュア・スケート・ファンという氷の娘 (創元推理文庫)を読んで気分を盛りあげてから突入しようと思っていたのに、間に合いませんでした……。でも、しょっぱなから羽生選手のすばらしい演技を見せてもらえて気分は盛りあがってます。

 姉がアイスダンスのトービル・ディーン組のファンだったので、わたしはもう思いきりベタですが、サラエボ五輪でトービル・ディーン組の〈ボレロ〉にノックアウトされた口です。何かパフォーマンス(演技)を観て、自然と涙が出たというのはあのときが生まれて初めてだったと思います。家族で観ていたから、急に涙が止まらなくなって、なんか照れくさかった記憶が(笑)。

 その後はフィギュアをそれほど観ない時期があったりで、トービル・ディーンに次いで強く記憶に残っているのはやはりアイスダンスのグリシュク・プラトフ組。リレハンメルと長野でオリンピックを二連覇したペアです。このペアが長野のフリーで滑った〈レクイエム〉は、〈ボレロ〉に通じるドラマチックさがあって録画を何度もくり返し観ました。グリシュクとコーチのタラソワさんが感極まって泣いてるのが印象的です。↓



 ひょっとすると日本では憶えてる人が少ないかもしれないけれど、アメリカのポール・ワイリーも好きな選手でした。アメリカの男子にしては小柄(160センチ台なかば?)でジャンプもあまり得意じゃなかったんですが、曲の表現がすばらしくて。伊藤みどり選手が銀メダルをとったアルベールビル五輪で男子の銀メダルをとりました。



↑試合よりも、彼がアルベールビルのエキシビションで滑ったこのプログラム(画像はオリンピック後のもの)が好きで、こちらも何度もくり返し観ました。〈ミス・サイゴン〉の舞台はロンドンで観たこともあってか、東洋人のわたしからするとストーリー的に(特にラスト)居心地悪いものを感じたりもしたんだけど、ひさしぶりにポール・ワイリーのパフォーマンスを観ると、あらためてこのプログラムはいいなあと思いました。

 いま行われているフィギュアの団体、最初勘違いしていて、いつもと同じに個人競技としてみな一度ずつ演技して、その合計点を国別で競うのかと思ってました。団体と個人で二度滑るのは選手の負担が大きくないかという気がするものの、リンクサイドで国別に座ってる選手とコーチたちの姿は、なんか運動会のクラス別応援席みたいでなかなかほほえましいですね。

 フィギュアのテレビ放映が増えても、五輪のときに特に盛りあがってしまうわたしは「四年に一度」というドラマに惹かれている部分も大きいんだろうなあ。

 あ、きょうのタイトルにしたのはトービル・ディーン組の〈ボレロ〉についての実況アナウンサーの言葉です。↓



 ひとりでも多くの選手が実力を出し切って笑顔で大会を終えられることを祈って。
 

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ミュージカル〈シャーロック・ホームズ~アンダーソン家の秘密~〉

 かなーりあいだが空いてしまいましたが、みなさまこんにちは。
 ゲラが返ってくるときにかぎって動かせない予定がはいっていたりで、ブログ記事も書けないし、ツイッターのタイムラインもあまり追えない日々が続いていました。
 さて、きょうはそんななか観てきたミュージカル『シャーロック・ホームズ~アンダーソン家の秘密~』のお話。公演期間が短いので、東京はもうすぐ(2月4日)に終わってしまうんですけど、これはきっと再演ありでしょう。



 ホームズ・マニアのあいだでもなかなか評判がいいと聞いていたのですが、ほーんと期待以上におもしろかったです。正典と呼ばれるコナン・ドイルの原作のエッセンスをうまく取り入れた脚本で、謎解きにはちゃんとどんでん返しも用意されていて、観終わったあとに心地よい満足感と余韻が残ります。韓国オリジナルの舞台ということで、韓流の情緒的な部分がうまく加味されていた印象。歌で事件を解説していかなければならないし、もとは韓国語に合わせたメロディラインだし、出演者は苦労した部分も多かったんではないではないかと思います。
 この舞台ではワトスンが女性という設定。その意味ではアメリカのテレビシリーズ〈エレメンタリー〉の仲間ですね。ところどころコミカルな味つけがされていて、そのさじ加減もよかったと思います。
 出演者ではジキルとハイドのような双子役をひとりで演じ分けた浦井健治さんがお見事でした。カーテンコールでは〈もののけ姫〉の美輪さんのモノマネを披露してくれるサービスぶり(笑)。
 会場の東京芸術劇場プレイハウスはちょっと世田谷パブリックシアターに似た感じで、レトロな芝居小屋的雰囲気が今回の作品に合っていました。舞台美術もシンプルながらセンスがよかったです。
 
 ミュージカルという観点から欲を言うと、観客が帰りに思わず口ずさんでしまうような印象的な曲があったらもっとよかったかな。ただ、上の動画の最後にも映っているアンサンブルの合唱シーンは好きでした。アンサンブル・シーンって、出演者のエネルギーが客席へとストレートに向かってくる気がして、ミュージカルの醍醐味のひとつと思います。

 この舞台のことを記事にしているブログをのぞいてみると、「ホームズがわざわざ乗り出すほどの事件に思えない」という意見も見かけたけど、マニアだけを対象にした舞台ではないし、わたしは適度なわかりやすさに好感を持ちました。「踊る人形」のエピソードが導入としてうまくアレンジされているせいもあって、コナン・ドイルの原作も読んで(読み返して)みようかな~という気持ちになる観客もきっといるはず。
 全体的にバランスがよくて、ミステリ・ファンもミュージカル・ファンも楽しめる作品です。ご興味を持たれた方は再演の際にぜひ。あ、2月8日の福岡をはじめ、ほかの都市での公演もあります! スケジュールはこちら

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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