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《42 世界を変えた男》



《42》は大リーグ初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソンの人種の壁との闘いを描いた映画だ。
こちらの写真の真ん中がジャッキー・ロビンソンの奥さん、レイチェルさん。
映画のプロモーションで来日されていたから、テレビなどでご覧になった方もいらっしゃるだろうか。
91歳にして、この背筋の伸びっぷり! 日本には日野原重明さんというスーパーマンがいるけれど、彼が91歳のころと比べても、勝るとも劣らないないのではないかな。映画で彼女のことがとても魅力的に描かれていて気になっていたのだが、インタビュー記事を読んでもやはりすてきな女性のようだ。
ご主人の死後は財団を設立し、マイノリティが社会で活躍の場を得られるよう運動したりしているとのこと。

《42》は野球ファンじゃなくても、アメリカの歴史に興味がある人なら、観ておもしろいはず。
わたしは2時間が短く感じられたし、何カ所か涙腺を刺激された。映画に描かれている以外にも、もっとひどい侮辱を受けたり、えげつない脅迫状が送られてきたことがあったはずだと考えるとね……。この映画は観る側にそういう想像の余地を残しているところがよかった。
ロビンソンにかかわる人々の描き方は少し類型的かもしれない。でも、この作品の場合はそれがいやじゃなかった。題材からして教科書的になりそうなところを絶妙のさじ加減で抑えているというか。監督/脚本のブライアン・ヘルゲランド、好きかも。
インタビューで、レイチェルさんは「日本のファンのみならず(この映画を見た)全ての人たちに、アメリカの歴史上の事実を知っていただきたい。色々と感じて欲しいし自分の体験と照らし合わせて欲しい」とおっしゃっている。まさしくそういう映画になっていたと思う。

劇場によってはそろそろ上映終了だったりするようなので、ご興味のある方はお早めに。
上映館はこちら

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『11/22/63』とC・S・ルイス

2013-11-17 11.49.03 (450x800)

 11月22日が近づいてきて、ケネディが暗殺されてちょうど50年のことしは書店でケネディ本のコーナーができていたりする。スティーヴン・キングの『11/22/63』(11/22/63 上)(11/22/63 下)ももちろん置いてある。
 『11/22/63』は読了後、切ない余韻からしばらく抜けられなくなった。これから読む方には、〈イン・ザ・ムード〉が収録されたグレン・ミラーのアルバムを用意しておくことをお薦め。聴きながら読むと、読みおわったあと、また曲を聴いただけでじーんときます。曲調は明るくてもね。
 わたしはホラーが苦手なので、読みたくてもなかなか勇気が出せないことがあるキング。そんなわたしでも心ゆくまで楽しめた――ホラー色はゼロ。ナニコノ厚サ……な上下巻だけど、無駄なエピソードがひとつもないのはさすが。
 過去に戻ってのケネディ暗殺阻止の是非、アメリカにおけるケネディ家という存在、差別の問題、当時の文化――と、読み終わった人同士で語り合いたくなるポイントの多い本だ。

 ところで、1963年11月22日は『ナルニア国物語』の著者、C・S・ルイスが亡くなった日でもある。昔、日本C・S・ルイス協会の会合に参加したとき、ICUの元学長さんという先生は「ぼくにとっては、ケネディ暗殺よりも、ルイスが亡くなったことのほうが大きな出来事でした」とおっしゃっていた。
 ルイス、外見は温厚そうだけど、親友だったトールキンと仲違いしちゃったりと、いろいろむずかしい人だったようだ。でも、読者からの手紙には丁寧に返事を返す人でもあった。
 トップの画像は幼い女の子にルイスが送った返事(Letters to Childrenから)。絵入りなんてうらやましい! 

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シュルツさんのダッフルバッグ スヌーピー展

(展覧会の記事が続くけれど、こちらもまだ会期中なので、お薦めの意味も込めて)
 六本木で開かれている『スヌーピー展』は充実した展示内容で、ピーナッツが好きな(好きだった)方にはぜひ足を運んでもらいたい。年代別に展示されている代表的作品は、気がつくと笑顔になっているかわいさ、楽しさ。グッズコーナーも含めてゆっくり見たければ、2時間半は予定していったほうがいいと思う。
 シュルツさんの仕事部屋が再現されていたり、シュルツさんが丸めて捨てたものを秘書の方が拾っておいた(だからシワシワの)下書きが展示されていたり。それぞれのキャラクターの誕生秘話なども紹介されていて、全体にピーナッツとシュルツさんに対する関係者の愛が感じられる展覧会だ。

 スヌーピーはわたしが《セサミ・ストリート》のつぎに触れた“アメリカ”だったと思う。小学生のとき、年の離れた姉が大学生協で買ってきたのがきっかけで、毎月〈月刊スヌーピー〉を買っていた時期があった。当時はとにかく“スヌーピーかわいい”がメインで、漫画の内容よりもグッズに興味があったりしたんだけど。でも、いつもはイケてないチャーリー・ブラウンが袋をかぶったら人気者になってしまったというこのシリーズ↓は、ちょっと切なくて心に残った。

Mr.Sack

 今回、スヌーピーの展覧会に行きたいと思ったのは、シュルツさん個人についての展示も豊富そうだったから。
 昔、日テレで放送していた〈知ってるつもり?!〉でシュルツさんが取りあげられたことがあって、そのとき、シュルツさんがDデイをテーマとしたスヌーピーの絵を描いていることを知った。ちょうど『プライベート・ライアン』を読んだ直後だったこともあって、番組内で紹介された絵(たぶんこの絵だったと思う)を見ていたら涙が出てきた。このときは、シュルツさん自身がDデイの上陸の現場にいたのかと勘違いしてしまったから、なおさら衝撃が大きかったんだけど、シュルツさんがヨーロッパに送られたのは1945年とのこと。だから、自分たちの前に道を切り拓いてくれた人たちへの思いを込めて、Dデイの絵は描いていたらしい。ただ、シュルツさんはかなり繊細な部分を持った人だったはずで、彼がドイツ系であることも考えると、その人があの戦争に行っていたんだと思うとやはりなんとも言えない気持ちになる。
 展覧会に上の絵は来てなかったけど、シュルツさんが戦時中に使っていたという海軍のダッフルバッグが展示されていた。大きい! わたしには引きずることも不可能ではないかというサイズ。これを実際にかついでシュルツさんは戦争に……と思うと、また胸が締めつけられた。

 シュルツさん、スポーツ万能で、アイススケート・リンクの建設に出資してアイスショーを自ら主催したりとさまざまなスポーツイベントにも関係していたそうな。その辺のことも写真入りで紹介されていた。こうして振り返ってみてもやっぱり見応えのある展覧会だった。会期は来年1月5日まで。

 そうそう、キングの『11/22/63』で話題のルートビア、シュルツさんも好きだったらしく、会場で売られていた。学生時代、先にアメリカに行った同級生が「あれは飲まないほうがいいよ! すごいまずい」と言っていたので、自販機などで目にしてもトライせずにきてしまったんだけど、やはり一度は試してみるべきか……。

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『手から手へ』展

 先日のパネル・ディスカッション『絵本のチカラ 3.11後の私たちの生き方』の会場では『手から手へ』展が同時開催されていた。
 会場には早めに着いたので、こちらの絵もゆっくり見ることができた。降谷さんとゾーヴァさんの考え方の違いではないけれど、原発反対などのメッセージをストレートに絵にしている人と、メッセージ性はあまり感じられない絵を出品している人の両方がいらした。
 絵を見ながら、あらためて感じたのは、言葉を介さないコミュニケーション手段の強さ。やっぱり絵や音楽は人の感覚に直接的に訴えてくるからなあ。国境を越える力が大きい。
 この展覧会ではすてきな日本人作家の絵と出会うことができた。わたしが惹かれたのは、

久保貴之さん
久保貴之さん

いまいあやのさん
いまいあやのさん

岡田千晶さん
岡田千晶さん

児島なおみさん
児島なおみさん

 展覧会は荒井良二さんや酒井駒子さんの作品も展示されていて、横浜の日本新聞博物館で12月23日まで開催中。入場料500円。もう一度3.11について考えてみる機会として、それから新しい画家・イラストレーターさんと出会う場としてもお薦め。

 さて、『絵本のチカラ』で、ゾーヴァさんと降谷さん以外のコメントで印象に残ったところを簡単に。

はたこうしろうさん:自民圧勝の選挙結果にショックを受けた。自分の意見は行政に反映されない。今後、どうしたらいいか考え中。自分は動物好きで、動物好きの人はあべさんもそうだと思うが、環境を悪くする原発を作ろうなどとは思わないと思う。世の中お金だけじゃない、とか神秘性の大事さを伝えていけたら。

あべ弘士さん:旭川動物園の飼育員時代は動物と人間の通訳、絵本作家のいまは動物と読者のあいだを取り持つ通訳。動物は大人になるのが遅れると死が待っている(渡り鳥の雁など、3カ月で成長しなければ置いてきぼりにされる)。子どもは大人にならなければならないということを伝えたい。

あべ弘士さんサイン
↑あべ弘士さんのサイン。ひとりひとりにイラスト入りで!

 はたさんの「選挙結果にショック」というお話を聞きながら、開票後の自分のツイッター・タイムラインを思い出した。わたしたち(と勝手に仲間化)、社会的に少数派なんですよね……。

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絵本のチカラ 3.11後の私たちの生き方

10月26日に東京新聞主催の『絵本のチカラ 3.11後の私たちの生き方』に行ってきた。
聴講希望者多数で抽選となり、わたしははずれてしまったのだけど、ありがたいことに同業の先輩Mさんに聴講券を譲っていただくことができた。Mさん、ありがとうございました!

このイベントに興味を持ったのは、なんといってもパネリストのひとりが、ドイツの有名な画家・イラストレーターのミヒャエル・ゾーヴァさん(ご存じない方はほぼ日のこちら の記事をご覧になってね。ゾーヴァさんのプロフィール、作品が見られます)だったから。
ゾーヴァさんの作品はぱっと見かわいいんだけど、ところどころ不気味だったり、ちょっとグロテスクだったりする。その不思議なバランスがなんとも言えずに好き。

当日、ゾーヴァさんのお話で印象に残ったのは、風刺画と子ども向けの絵とのあいだに線引きをしていらっしゃるらしいこと。「風刺画は(かわいいものでも)子どもの本には向かない。問題解決につながらないから。放射能は目でわからないものだし、それについての賛成/反対のプロパガンダを提示する必要はなく、心を癒やすような絵がいい」というようなことをおっしゃっていた。
これに対し、『手から手へ展』の発起人でもある降矢奈々さんは「子どもの本でも、ネガティブな要素を入れていい。親子でそれについて話し合えばいいのでは」という意見で、それぞれ考え方が違っておもしろかった。

2009年に銀座松屋で展覧会が催された際、サイン会は開場後あっという間に定員に達してしまったとかで、まだゾーヴァさん人気のすごさを知らず、開場1時間後ぐらいにのこのこ出かけていったわたしは涙を呑んだ。今回はお話をうかがえた上に、サイン会では握手もしていただけて幸せだった。

ゾーヴァさんのサイン

ちょっと残念だったのは、天候のせいもあってか、わりと空席があったこと。7割くらいしか埋まってなかったんじゃないかな。試写会と同じで、こういうイベントは実際にどれだけの人が足を運んでくれるか、予想がむずかしいとは思うけど。

パネルディスカッションに参加されていたほかの作家さんのお話、同じ場所で開催されていた『手から手へ展』についてはまた別記事で書きたいと思います。

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はじめましてのご挨拶

 ブログ『趣味は読書?』にようこそ。出版翻訳者の島村浩子です。
 『趣味は読書。』といえば、10年ほど前に話題になった斎藤美奈子さんのベストセラー紹介本ですが、わたしは出版に関連した仕事をしているわりには何かとユルめの読者です。『趣味は読書。』のなかで斎藤さんが“履歴書の「趣味」の欄にも「読書」と書き”と分析している“善良な読者”寄りかなと思っています。でも、“善良”でないのは確かでありますしね、もろもろ不明な点もあるので、ブログタイトルには“?”をつけてみました。
 このブログでは本の話題を中心に――ときには自分が出版翻訳の勉強・仕事を通じて感じたこと、気づいたことなどを交えつつ――書いていきたいと思っています。ぜひまたお立ち寄りください。
Twitter Accout: @rhiroko

プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
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Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
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訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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