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〈ニューヨーク公共図書館〉公式サイト パネルディスカッションページ

(2019/8/6)

 観てからずいぶんたってしまいましたが、きょうは映画〈ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス〉について少し。いま東京ではアップリンクで上映中、8月10日からは恵比寿ガーデンシネマでも上映が始まるようですね。

 この映画で印象に残っている場面のひとつが分館で行われていたシニアダンス教室。楽しそう! わたしも参加してみた〜いと思いました。日本でやると、ちょっと雰囲気が違ってくるかなあ(笑)。個人的にはニューヨークで暮らす人の多様性が一番強く感じられた場面でした。二ューヨークを舞台にしたドラマなどを見ていると、出演者が「ヨーロッパ系、アフリカ系、ラテン系、アジア系、みんなそろってるでしょ!」みたいな感じで、きちんとそろいすぎているがためにかえって「うーん」となることがあって。でもこの映画はドキュメンタリーですし、特にダンス教室の場面は、いろんな人がいるニューヨークの自然な光景が見られたような気がしました。

 あとは図書館の幹部の会議場面が見ていてわくわくしました。わくわくした理由は幹部たちが広い視野を持ち、驚くほどフェアな考え方に基づいて運営に当たっていることが伝わってきたから。むずかしい(にちがいない)ことをリアルに実行している人たちの姿というのは、自分も自分がかかわっている分野で何かできることがあるんじゃないかと前向きな気持ちにさせてくれます(←単純?・笑)。
 
 映画の公式ウェブサイトに公開記念パネルディスカッションとその質疑応答のレポートが掲載されているんですが、このページがとてもおもしろいです。ディスカッションの最後に越塚美加氏(学習院女子大学国際文化交流学部教授)が映画について「どの立場の方もすごく得るもの、感じるものが沢山あると思いますので、とにかくご覧ください」と述べていらっしゃるけれど、このレポートページ自体、「図書館のありかた」とかそういうことに興味がない人でも、読むと「得るもの、感じるもの」があるんじゃないかと思います。映画公開を記念して来日したNYPL(ニューヨーク公共図書館)幹部のひとりキャリー・ウェルチさんのお話はプログラムよりも詳しく載っている部分もあり。映画をご覧になった方は必読です。未見の方はこのページを読むと映画を観たいという気持ちが強くなるんじゃないかと思います。

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 これを書いているあいだに、マガジン航のあいちトリエンナーレに関する記事を読んでいたら、最後のほうでこの映画について触れられていました。

美術館(今回のような国際美術展も含む)や図書館が担うべき公共性のひとつとして、かならずしも全員一致の結論を得られないテーマやアジェンダに対し、安全な環境のもとで公的な議論を喚起するということが挙げられると思う。
(中略)
あの映画を見て公共の施設が担うべき「公共性」について少しでも考えた方は、もしもあの映画が図書館ではなく美術館あるいは美術展を舞台にした作品だったら、と思って考えてみるとよいと思う。図書館が民主主義を支える場であるのと同様に、美術館も民主主義と切り離せない場だと私は考える。


 全文はこちらです。

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梅雨明け後、いきなりの連日猛暑……しんどいです。でも日没近くになると、ちょっとだけラク。写真は東京湾に出ていく屋形船たち。

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仕事の参考に観た映画で

(2017/08/06)

 ちょっと昔の映画『デンジャラス・ビューティー』と『メラニーは行く!』を観ました。いま訳しているというか訳文の見直しをしている作品にミスコンが出てきたり、物語の舞台が南部だったりするので。




 偶然二本ともキャンディス・バーゲンがちょっとした/かなりの(?)憎まれ役で出てきて、この人ってこういう役まわりの多い人だっけ?と思いながら観ました。さらにどちらも15年ほど前の作品。振り返ってみると、2000年前後ってわたしが一番映画とか観ている余裕のなかったころかも。

 どちらもツッコミどころはあるけれど、翻訳者としては特に『メラニーは行く!』が南部の雰囲気などを映像で確認したりするのに役立ちました。田舎の町並みやら、猟犬がとてもかわいがられているところやら。
 そうそう、南北戦争の再現劇(reenactment)の場面なんかも出てくるんですよ(笑)。これは今度の仕事に関係ないんですけど、昔訳した『13羽の怒れるフラミンゴ』という作品(ドナ・アンドリュース著)に独立戦争の再現イベントが描かれていたんです。この映画に再現劇の場面が出てくることは、Twitterを始めてから相互フォローの読者の方に教えていただいていたのですが、未見だったのです。再現劇の映像はYouTubeで観たことがあったんですけど。『13羽〜』の原書を初めて読んだときは戦争の再現イベントが年中行事として行われる地方があるなんて知らず、「なんだこれは???」と思ったのを思い出しました。

(↑ゲティスバーグの戦いの再現イベント映像)


 ところで、『メラニーは行く!』にはツッコミどころというより、かなり気になった部分もありました。主人公のメラニー(リース・ウィザースプーン)は自分勝手なところがありつつも独特な愛されキャラという設定なんですが、彼女がゲイの友人ボビー・レイをアウティングする場面があるんです。田舎町の狭い人間関係のなかのことなので、彼女が言わなくても、みんな察していたかもしれない。でも、そのあとのメラニーとボビー・レイの仲直りの描き方があまりに簡単すぎて。2002年の作品とはいえ「え?」という感じでした。アウティングされたことから自殺してしまう人もいる現実を考えると……。

 娯楽作品から受けるすりこみって意識しないところで大きいと思うんです。あとで「『メラニーは行く!』で主人公もやってたし、でもゲイの友達もまた彼女を受け入れてたし」と思い出すことすらなく、ただアウティングという行為を軽視する気持ちだけが育ってしまう可能性もあると感じました。


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丸3年/〈ゲイビー・ベイビー〉/〈シーモアさんと、大人のための人生入門〉

(2016/12/07)

 先月は北翔さんの退団公演に関する記事を書いたら終わってしまいましたが、11月でこのブログを始めてから丸3年が過ぎ、4年目に入りました。お読みいただいているみなさまには感謝です! ここしばらく書く回数が減っているのですけれど、ゆるゆると続けていきますので引き続き、ときたまでものぞいていただければ嬉しいです。

 きょうは最近観た映画2本について少し。

〈ゲイビー・ベイビー〉

 市民上映会配給記念の特別上映会というのに行ってきました。現時点では今後の具体的な上映会日程などは決まってないのかな? わたしは観てとてもよかったと思ったので、ご覧になる機会があればぜひにとお薦めしたい作品です。両親がゲイ・カップルという家庭で育っている子供4人を取材したドキュメンタリー。雰囲気的に〈6才のボクが、大人になるまで。〉を思い出しました。これから増えてくるはずの「多様な家庭」について知るうえで助けになる1本。わたしは予告編を観て「よさそう」と思ったので、↑のリンク先にある予告編をぜひ見てみてください。上映会では日本語の字幕がつきます。監督のマヤ・ニューウェル自身がゲイ・カップルの家庭で育ち、彼女のdonor father は日本人だそうです。


☆シーモアさんと、大人のための人生入門



 こちらもよかったです。51歳でピアニストとしてのキャリアに終止符を打ち、教えることに専念したシーモア・ホフマンさんをイーサン・ホークが監督として撮ったドキュメンタリー映画。シーモアさんはピアノ教師というか教育者なのだろうなあ。映画に登場するシーモアさんの印象的な言葉はこちらにまとまってます。ただやっぱり映画でシーモアさんが語るところを見ながら聞いたほうが、心への響き方が違うと思います。
 長くもなく、退屈でもないのに、音楽の心地よさと映画館がぬくぬくと暖かかったせいで最後にちょっと眠気に襲われてしまった。昔ジョージ・ウィンストンのコンサートで途中しばらく気を失ってしまったことを思い出しました。よい音楽は眠気を誘う……(笑)。



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〈RICKI AND THE FLASH〉

(2016/03/18)

 映画〈RICKI AND THE FLASH〉(邦題〈幸せをつかむ歌〉)を観てきました。小さい映画館で割引デーではあったけれど、平日午前中からほぼ満席。さすがメリル出演作って感じでしょうか。

 わたしがこの映画を観にいったのはひとえにリック・スプリングフィールドが出ているから(笑)。高校生のときに初めて好きになった「外タレ」だったのですよ、彼。ちなみにきっかけは〈ジェシーズ・ガール〉ではなく〈アフェア・オブ・ザ・ハート〉ね。

 映画としては正直あまり期待していなかったのだけれど、「観てよかった」と思いながら映画館をあとにしました。人種差別・同性愛差別、ジェンダーロールの問題などが少しずつ盛りこまれていたり、エコ・フレンドリー&ヴィーガンな花嫁が登場したり、個人的に「はいはい」という感じのところ、フックとなったりする点がいくつもあったからだと思います。

 メリル演じる売れない女性ロック・ボーカリスト、リッキーが途中、ストーンズの歌を歌ったあと「ミック・ジャガーは結婚離婚をくり返し、子どもを何人も作り、好きに生きても嫌われない。パパだから。でもママはギグのために一回子どもの行事をパスしてしまっただけで叩かれる」というような思いを吐露する場面があります。そこに関連しては、いまメリルが映画界における男女平等を実現するために行動していること、〈愛と哀しみの果て〉があれだけ「メリル・ストリープの映画」でありながら、クレジットはロバート・レッドフォードの名前が先だったこと、その〈愛と哀しみの果て〉でカレンの人物造形をめぐってメリルと監督の意見がぶつかった箇所があったことなどを思いだしたり、考えたり。

 リックはね、重要な役どころであるグレッグ(リッキーのバンドのギタリストであり現在のパートナー)を好演していました。元ファンとしてはホッ(笑)。

 メリルはストーンズのほかにトム・ペティやU2、あとピンクやレディ・ガガの曲を歌ってました。特にU2の I STILL HAVEN'T FOUND WHAT I'M LOOKING FOR はよかったなー。いまさらだけど、声もいいし、歌もうまい人ですね。
 ラストはリッキーの息子の結婚式シーンで、ちょっと〈マンマ・ミーア!〉な雰囲気もありました。




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〈パレードへようこそ〉

 先月、〈パレードへようこそ〉を観てきました。いい映画でした! 〈リトル・ダンサー〉と〈ブラス!〉がよく引き合いに出されているけれど、〈フル・モンティ〉が好きな人にもストライク・ゾーンだと思います。イギリス映画って労働者階級のヒューマン・ドラマ(温かくて感動的でユーモアもある)を作るのがうまいなあとあらためて感じました。
 きょうはその出演者について少し。

 出演者はみんなすごくよくて、ビル・ナイはもちろんとてもうまかったのですが、今回わたしが特にいいなあと思ったのはTVシリーズ「SHERLOCK/シャーロック」でモリアーティを演じているアンドリュー・スコット。モリアーティ役の彼にはわたしはあまり強い印象を受けなかったんですけど、今回のゲシン役は目の表情がなんとも言えず。ゲシンは炭鉱町の出身で、ゲイであるためにつらい思いをさせられた旧弊な故郷にわだかまりがあり、最初は炭鉱労働者を支援する運動にそれほど乗り気ではなかったんですよね。でも、友人たちと一緒に支援先の炭鉱を訪れることになり、そのときに彼が見せた失望を予期しているような緊張と不安の表情は強く心に残りました。彼が出演している〈ジミー、野を駆ける伝説〉、劇場公開時に見にいけなかったのが悔やまれる……。

 もうひとり演技巧者と思った(なんて言うと偉そうだけど)のがジョージ・マッケイ。彼は去年〈サンシャイン/歌声が響く街〉で観たときもいいなと思い、「これから注目の若手俳優」という紹介文に激しくうなずいていたのに、今回はあまりに雰囲気が違っていたので、実は最初、彼だと気がつきませんでした。〈サンシャイン~〉はアフガンでの兵役から帰ってきたばかりの若者役だったのに対し、今回は家族に自分の性的指向を隠しながら仲間との交流を深めていくゲイの役で、たぶん体のつくり方から変えていたんじゃないかな。本当に今後の出演作が楽しみ! 絶望的に役者の顔と名前が憶えられないわたしは、また観てから「彼だったのか!」なんてことがありそうだけど(苦笑)。

 あと、公式ウェブでは紹介されていないんだけど、この運動をきっかけに大学へ進学、のちに議員になるという主婦役を演じたジェシカ・ガニングという女優さんも存在感がありました。まだ若い女優さんのようだし、これからいろんな映画で会えるといいな。
 
 うっかり見逃してしまった方、二番館でもDVDでも機会があったらぜひ! わたしはとてもいい時間を過ごして、観終わったあとはなんだか力が湧いてくる感覚を味わいました。



プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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