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夏の観劇——「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚(きいちほうげんさんりゃくのまき いちじょうおおくらものがたり)」

(2017/09/11)

 あっという間に9月も中旬に突入。朝晩は過ごしやすくなりましたね。ふう、今年の夏もなんとか無事に乗りきれたのでひとまずめでたし。
 さて、きょうはひさしぶりに最近観た舞台のことなど。最近と言っても観たのはどれも1カ月以上前なんですけど。分割で書くことにしました。きょうは7月に観た歌舞伎鑑賞教室「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚(きいちほうげんさんりゃくのまき いちじょうおおくらものがたり)」

 これは尾上菊之助が出るので行ってきました。国立劇場の歌舞伎教室は毎年6月と7月に開催されています。歌舞伎の楽しみ方に関する解説(舞台装置や効果音、義太夫などについて)が約30分。休憩を挟んで実際の歌舞伎が一幕という構成です。初心者向けということになってますが、よくご覧になっている方もわりといらしてたんじゃないかな。ふだんの公演を全幕観るとかなりの長丁場ですが、これは開演から終演まで2時間ちょっと。長さの面でも足を運びやすい催しです。うちの母は70代くらいから「歌舞伎は長くて疲れる……」と言いはじめました。そういった意味で年配の方にも向いている気がします。
 今回は一條大蔵卿を当たり役とする中村吉右衛門の監修。菊ちゃんはお父さんの菊五郎だけじゃなく義理のお父さんの吉右衛門からも教えを受ける機会が増え、本当にこれからどこまで魅力的な役者さんになっていくのだろうという感じです。世間を欺くためにふだんは遊興にふけっている大蔵卿。お気楽100パーセントでばかっぽい菊ちゃんなんて初めて観ました。ただし大蔵卿は終盤に本来の姿に戻るところがあって、がらりと印象が変わります。あー、吉右衛門の当たり役ってわかる気がすると、ちょっと知ったかぶって思った役でした。

 わたしは歌舞伎というとほぼ毎回イヤホンガイドを利用するのですが、あれは本当にいいと思います。利用するようになってから、物語の理解度が格段にあがって楽しくなりました。今回一緒に行った友人は、昔利用したときガイドの入るタイミングがいまいちに感じたそうなんですが、今回ひさしぶりに使ってみて「わかりやすくてよかった!」と言ってました。イヤホンガイド、進化してるのかも? たまに歌舞伎に行くようになった最初のころはプログラムを買ってたんですけど、開演前や幕間にあらすじなどを読んでいても、いまいち台詞が拾えなかったり、どの役者さんがいま舞台にいるのかわからなかったりで舞台を充分楽しめていなかったんです。日本語を話しているとはいえ、古い言葉だし、台詞回しも独特ですしね。あと、イヤホンガイドは休憩時間も舞台の背景説明などを流してくれたりするので、ひとりで行ったときに退屈しませんよ。英語版もあります——と書いたところで確認したら、歌舞伎座は字幕ガイド導入に伴い終了したそうです。国立劇場はいまも英語版があります。

 次回は「ふるあめりかに袖はぬらさじ」と宝塚花組公演「邪馬台国の風」「Santé!!」について書こうかと思っています。

*イヤホンガイドについてはこちらの記事にも書いていました。


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宝塚星組〈桜華に舞え/ロマンス!!〉その2

(2016/11/13)

 北翔さんのラストデイが1週間後に迫ってまいりました。先日は北翔さんが大階段を降りる際にハプニングがあったと知り、もう頭から血が引きました。大事にならずよかった……。どうかどうか千秋楽まで、みなさんご無事で。
 ラストデイはライブビューイングが開催されるので、それに行きます。これ、先行抽選はハズレたんです……。結果発表前日に会場が追加になったので、嫌な予感はしていたのですが。そのため、先週の日曜日はひさびさにネットの一般発売(先着)に参戦したんですけど、取れなかったらどうしようともう前夜から緊張しまくりでした。すぐにつながってよかった(嬉し涙)。

 さて〈桜華に舞え/ロマンス〉ですが、今回は個々の出演者さんについて少し。

☆夏樹れいさんと真彩希帆さん
 お二人とも歌ウマさんですよね〜。夏樹さん〈Amour それは……〉のデュエットダンスでもカゲソロをまかされていたし、今後のさらなる活躍を期待します。スペイン語が得意というところもかっこいい。真彩さんは〈桜華〜〉第2場の会津陥落の場面での歌がすばらしくて感動しました。雪組への異動が決まっているそうですが、雪は「超」がつく歌ウマの望海風斗さんがいるし、組替え後の活躍も楽しみにしています。

☆妃海風さん
 〈桜華〜〉第2場、桐野利秋との出会いの場面が凜々しくてすてき。第2幕のレビューも含めて、特に今回はいいなあと思う場面がいっぱいあるのだけど、とりわけ印象に残っているのはレビューの「友情」。男役さんに混じり、北翔さんの隣で力いっぱい踊っているふーちゃんを見ていると、本当に北翔さんの相手役さんがこの人でよかったなあとしみじみ思いました。

☆紅ゆずるさん
 〈桜華〜〉のラスト、倒れた桐野に隼太郎が駆け寄ってからは、客席のたぶん8割……いや、9割がたは泣いていますよね。隼太の「痛かったろう……つらかったろう……」(うろ憶え)という台詞に胸を締めつけられます。紅さんの演技が傑作〈桜華〜〉をより感動的なものにしていると感じました。タカラヅカ・ニュースで北翔さんとの場面について「言葉でお芝居しながら、心でも会話しているんですよ」とおっしゃっていたのが、強く心に残っています。紅さんの大劇場トップお披露目公演作〈THE SCARLET PIMPERNEL〉はチケ取りたいへんになるのかしら。昔『紅はこべ』を夢中で読んだ身としてはぜひ観にいきたいと思っています。

☆北翔海莉さん
 もう「なんなんだ、この人は!」といういまさらの驚きと尊敬でいっぱいです。〈桜華〜/ロマンス〉をわたしが観たうちの1回は、1日2回公演のソワレだったんですが、レビュー「友情」の場面であれだけ踊りながらも(脚の挙げ方がいつもきれい!)、こちらの予想や記憶を上まわる声量と安定感で劇場に歌声を響きわたらせる。「サイボーグ」という言葉が頭をよぎりました。もちろん、北翔さんはサイボーグとは対極の人だとわかっているのですが。
 北翔さんはよく「この舞台がお客さまの記憶に少しでも残ってくれれば」「みなさんが元気や力を得てくだされば」という内容のコメントをされますけど、忘れようと思っても忘れられませんよ! そして、思い出すたび「わたしもがんばらねば」という気持ちになります。
 わたしが生で観ているのは専科時代からの北翔さんだけ。でも、回数は少なくとも劇場で観られて本当によかった。退団後のお仕事、きっともう決まってるんですよね。発表が楽しみです。

 生観劇といえば、今回「あー、やっぱり映像とは違う」と感じたのが、〈ロマンス〉冒頭の衣装の色彩。スカステで紅さんがこの場面を「めっちゃきれい!」とおっしゃっていたものの、テレビで見たときは「なるほど」程度の感想だったんです。でも、実際に劇場で観たら本当にため息が出るほどきれいでした。
 プログラムに衣装の任田幾英さんのコメントが載っていたのですが、使用する繊維によっては、照明が当たると、思っていたものとは違う発色に変化することもあるのだとか。特にロマンチック・レビューではやさしい色、きれいな色合いを求められることが多いので、神経を使われるとのこと。テレビは客席からではわからない細かいところもわかるのが魅力ですが、衣装をはじめ、舞台というものはやはり劇場の照明のなかで、ある程度の距離をもって見た場合、いちばん輝くように作られているのだなとあらためて感じました。

 さて、来週日曜日の北翔さんラストデイ・ライブビューイング。また泣きそうな気がしますが、目に、心に焼きつけてきたいと思います。



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宝塚星組『桜華に舞え』 -SAMURAI The FINAL-・『ロマンス!!(Romance)』

(2016/11/03)

 宝塚星組〈桜華に舞え —SAMURAI The FINAL —/ロマンス!!〉の東京公演を観てきました。星組トップコンビ、北翔海莉さんと妃海風さんの退団公演です。



 ゆるいファンのはずなのに、北翔さん@宝塚歌劇を観られるのはこの公演が最後……と思ったら、(こちらは観るだけにもかかわらず)観劇前日から緊張してそわそわドキドキしたり自分でもびっくり。今回は2回チケットが取れ、そのうち1回は初日というラッキーさ。今年の宝塚観劇はるろ剣がライブビューイング以外全滅だった残念さも、今回カーテンコールを生でたっぷり観られた悦びで帳消し以上でした。
 
 初日には劇団理事長とレビューの演出をされた岡田先生がいらしてました。席がわりと近かったんですけど、岡田先生はテレビで拝見するよりもさらに素敵な方でした。なんか立っていらっしゃるだけで、よい先生なのだろうなと感じさせるというか。理事長さんは〈桜華〜〉後の幕間に涙をぬぐっていらしたような。
 で、いきなりカーテンコールに話が飛ぶんですが、組長の万里柚美さんから退団者として元星組で現在専科の美城れんさんが紹介された場面、CSのタカラヅカニュースでは少しカットされていましたけど、組長さんがご挨拶を続けるのを待たなければならないほど、客席からの拍手が大きく長かったことに感動しました。美城さん、1幕の西郷さん役もすばらしかったし、レビューでのソロもすばらしかった。北翔さんの大劇場トップお披露目公演〈ガイズ&ドールズ〉が本当に楽しくて何度も観たくなる作品になったのは、美城さんがナイスリーを演じたことも大きかったのではないかと、このごろBDで見直しながらあらためて強く感じています。ソロパートだけじゃなく、コーラスでも美城さんがいるのといないのとでは違ったのではないでしょうか。
 1回目のカーテンコールが終わったあと、客席のみなさんがすぐに立ちあがったので、「あれ? アンコールあるよね?」と内心ちょっと焦ったら、ほとんどの方が帰るためではなく、スタンディングオベーションで幕があがるのを待つためでした。たしかアンコール3回、全部で4回のカーテンコール。サヨナラ特番でちらっと映っていたけれど、北翔さんも「初日からこんなにカーテンコールがあるのは初めて」というようなことをおっしゃっていました。
 初日は北翔さんのファンクラブの方が特に多いのかなという印象でした。抽選で初日のチケットを当ててくれたWさんに心から感謝。

 〈桜華に舞え〉は思っていた以上の傑作で、iTunesで音源をダウンロードしてしまった。こういうことはしないつもりだったのに……。それを聴くとまた泣けたり頭がぐるぐるしたりで困るんですけど(苦笑)。
 感動さめやらぬ状態で文章がまとまらないんですが、また別記事で少し書きたいと思っています。いまはとにかく北翔さんの卒業公演が無事に観られてよかった!という気持ちでいっぱいです。そしてREALLY REALLY AWESOME! な舞台を見せてくださった星組のみなさんに感謝。


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〈キンキーブーツ〉と〈ソング・オブ・ラホール〉

(2016/10/15)

 先日、来日版のミュージカル〈キンキーブーツ〉を観てきました。楽しかった! ドラァグクイーンがメインキャラクターのひとりで、親子の心のすれ違いなども描かれ、内容的には楽しいばかりではないんですけど。
 楽曲は——わたしと同世代の方は特によくご存じのはずの——シンディ・ローパーによる全曲書き下ろし。ドラァグクイーンのローラ役、J・ハリソン・ジーの歌唱がとにかくパワフルでした。
 ラストのファッションショーの場面、歌い踊るローラのウィッグがリズミカルに揺れるのに合わせて、こちらもどんどん心が浮き立ってきました。
 最後は立ちあがって踊っているお客さんが多かったです。


(↑ファッションショー場面の動画。ローラのウィッグのふわふわぶりにご注目)

 来日ミュージカル公演や外国人ミュージシャンのコンサートなどに行くと、途中で必ずと言っていいほど「ああ、いいなあ」とすごく幸せな気分になる瞬間があります。
 もちろん日本人の舞台やライブなどでも感動したり、口角あがりまくって帰ってきたりするんですが、来日公演のときに感じる幸せ感は一種独特。その理由はなんだろう?と考えてみると、ステージ上と客席側で、育ってきたバックグラウンドが明らかに大きく異なる人たちが同じ時間と空間を共有し、さらに楽しんでいるという構図がわたしは好きなのだと思います。

 先月観た映画〈ソング・オブ・ラホール〉がすごく気に入ったのも、似たような理由からという気がします。ウィントン・マルサリス率いるニューヨークのビッグバンドと、パキスタンで迫害を受けていた伝統音楽家たちが結成した〈サッチャル・ジャズ・アンサンブル〉の、異なる国・異なるジャンルの人々が交流し、ひとつのステージを作りあげていく様子がわたしにとってはツボだったんです。

 バックグランドが違うということは、ほぼ確実に相容れない部分があるはずです。でも、芸術やエンターテインメントを通じては、同じものをいいと感じたり、共感できたりすることもある。来日公演はわたしにとってそれを強く実感できる場なんだと思います。


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〈ME AND MY GIRL〉

(2016/07/11)

 むむむ、間隔が空くのが続いてしまいました。もっとサクサク更新したいんですけど。さて、きょうは先日観てきた宝塚花組の〈ME AND MY GIRL〉について少し。

〈ME AND MY GIRL〉は30年ほど前、語学研修という名目(笑)でロンドンに滞在していたとき、「せっかくだからまずはイギリスらしいミュージカルを」と最初に観にいった作品。ところが、なんと幕が開いたあとに機材トラブルが起き、その日の公演は中止に! 後日、チケット振り替えで最後まで観ましたが、劇場支配人(ぽい人)が説明のために舞台に出てきたときに「これも演出の一部???」なんて思ってしまった間抜けな思い出があります(苦笑)。

 宝塚版を観てから、昔買ったプログラムを出してきてみたら、衣装やら演出やらウェストエンドのオリジナルに驚くほど忠実だったことがわかりました。

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 で、花組の舞台がどうだったかというと……もうねー、とってもよかったです!!!



 あらすじや登場人物については、冒頭のリンク先に詳しく載っているので、そちらをご覧になってください。とにかくトップさん、二番手さん以外も見せ場があって、すみずみまで楽しめました。これは元の脚本がいいせいもあるでしょうが、みなさん楽しんで演じているのが伝わってくるし、歌の完成度も高かった気が(特にマリア公爵夫人役の仙名さん——でよかったかな?)。キャラクターとしてコミカルで面白かったのはヘアフォード家の弁護士、バーチェスター。わたしたちが観た日は柚香光さんでした。今回はいくつかの役が役替わりで楽しめるんですけど、違う組み合わせも観たかったな〜。
 エンディングでは急に涙がボロボロこぼれて、自分でもびっくり。主人公のビルと恋人のサリーが別れを余儀なくされそうになりつつも……というハッピーエンドだし、そこまで切なさが強調されていたわけでもないのに。終演後、ご一緒したWさんに話したら、Wさんも涙腺を刺激されたとか。楽しく幸せな作品でも、感動すると泣けたりしますよね。そして、感動したのはやっぱりエンターテインメントとしての完成度の高さ、明日海さん演じるビルと花乃さん演じるサリーの温かかったり、けなげだったりするキャラクター作りがしっかりしていたからではないかと思います。
 ミュージカル本篇がたっぷりだったからしかたないんですけど、フィナーレというかレヴューももっと長かったらなあなんて思ってしまった。いつまでも観ていたい、そんな舞台でした。




プロフィール

島村浩子

Author:島村浩子
東京下町在住の翻訳者。ミステリ・ロマンス・ノンフィクション・児童書など訳してます。本のほかに映画・洋楽・ミュージカルが好き。
Twitter: @rhiroko
Instagram:@reepicheeph
Fedibird(マストドン):@rhiroko
Bluesky:@rhiroko
タイッツー:@rhiroko
訳書一覧はWorks 仕事をご覧ください。

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